assorted cookies
煉瓦造りの建物の影に、真っ赤な夕陽が沈み始めた。 あちらこちらの店で買い出しをしたせいで、足がじんわりと疲れている。右手に持ったバスケットはずしりと重い。 それでも今日はまだ、とっておきの楽しみが残っている。 歩いた拍子に、バスケットの中身がコン、とうつろな音を立てた。葡萄酒の瓶が、空っぽのクッキー缶にぶつかったのだ。 目当ての店の看板。重い扉を押し開けると、からんからんとドアベルが鳴った。途端、身体中が甘い香りに包まれる。 「いらっしゃいませ!」 シンプルな紺色のエプロンドレス。すっきりとまとめ上げた髪。彼女は、この洋菓子店の店長だ。 紅茶と同じ色をした瞳が、柔らかくこちらを見つめている。 途端に騒ぎ出す心臓。平静を装って、空になったクッキー缶を手渡した。 「全部、美味かった」 「わ、良かった。嬉しいです!」 クッキーお好きなんですね、と彼女が笑う。ああ、と曖昧に頷いた。 「…今回も、あんたのおすすめを詰めてくれ」 本心を誤魔化すようにして注文を口にする。 おまかせくださいと頷いて、彼女はカウンターに並んだクッキーを選び始めた。 スノーボール、ココア、バター、ラングドシャ、紅茶、ジャムサンドにチョコチップ。寂しかった中身が、みるみる内にクッキーでいっぱいになる。 水仕事で少し荒れた手が、缶の蓋を閉じた。 仕上げの包装。赤いリボン。繊細な指先が、くるくると蓋を固定していく。 「はい、出来ました!」 今回はラングドシャがよく焼けたので、多めに詰めておきましたよ。彼女はそう朗らかに笑って、俺にクッキー缶を手渡した。 夢から覚めたような心地で店を出る。 クッキーを買う、ほんの僅かな時間。それでも彼女の顔を見ると、日々の忙しさや疲れを一瞬で思い出せなくなった。この店を出る時はいつでも、胸が優しい甘さでいっぱいになっているのだ。 中身の詰まったクッキー缶からは、もううつろな音は響かない。 この缶が空になる頃、また彼女に会いに来よう。そしてまた、選りすぐりのクッキーを詰めてもらうのだ。
みんなの答え
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すごぉおおぉおおぉ(うるさい
こんにちは!yunaと申します よろしくねー(*^^*) 初めて短編小説に感想書きます! すげぇっす先輩!(え 表現が一つ一つ丁寧な感じがしてすごく好きです 「紅茶と同じ色をした瞳」 っていう表現が一番好きです! ちょっと不思議な感じがして好きです なんか丁寧なお話って感じがします(?) めっちゃほのぼのした~ すごぉく素敵です… 一番好きかもしれないですっ 将来小説家になれますよほんとに とにかく丁寧な感じが伝わるすげぇお話でした((語彙力 英語の題名もすごく素敵です! お菓子の種類もこのお話の暖かさを感じ取れるような気がします こんなお話が作りたいです…尊敬しますっ お菓子食べたくなりました!(さっき食べたよね? ぐっばぁい 本当に素晴らしい作品をありがとうございました!
すごい‥!!
文才がすごいですね‥!! 短編小説として話がちゃんとまとまってるの、すごいなって思います。 私はできないので笑笑 あと表現の仕方(?)もおしゃれだなって思いました!
このちょっと不思議な世界観好きっ
こんにちはぁ~月灯さんっ 桜猫**です♪ **本題** この不思議な世界観すごく好きです あと、文章もこの世界観の重要な要素になっててすごく素敵… ”煉瓦造りの建物の影に、真っ赤な夕陽が沈み始めた” ”紅茶と同じ色をした瞳が、柔らかくこちらを見つめている” ”寂しかった中身が、みるみる内にクッキーでいっぱいになる” ”仕上げの包装。赤いリボン。繊細な指先が、くるくると蓋を固定していく” てとこが特に好きです! あと最後のかたまりのとこ(語彙力…) 詩でいう連みたいな。 も、すごく好きです。 (クッキーを買うほんのわずかな時間~選りすぐりのクッキーを詰めてもらうんだ) この男の人はこのクッキーを通してこの店長さんが気になってるのかな…? (ちがったらごめんなさい) ちょっと不器用そうで不愛想で素直になれないひとっぽそうだけど… なんだかんだ優しそう。 でも、この関係も素敵… なんて、楽しませていただきました! 素敵な小説をありがとうございました! それではぁ~ #短編小説 #不思議 #世界観好き #お菓子屋さん
すご!
絶対主人公の男性、クッキー屋の女性に恋してるやん笑 てかすごいですね!尊敬します! さっき小説書いてたんですけど、とてもむずかしかったです! 素敵な作品をありがとう!じゃあね!
無性にクッキーが食べたくなりました…!
あいぽんです! 小説、読ませていただきました。もう…最高すぎます! 『assorted cookies』(クッキーの盛り合わせ)という英語のお洒落な題名に心を惹かれました。そして、始めの方の『葡萄酒の瓶が、空っぽのクッキー缶にぶつかったのだ。 』で、クッキー缶も主人公の心も満たされる、という伏線回収には、特に驚かされました。 先日、私も短編小説を投稿したのですが、生まれて初めて小説を書いたのですが、思ったことを素直に書いていくと、字数が足りなくなってしまい…難しいなと改めて思っていました。 月灯さんは、物語を字数にきちんと収めながらも、上記の伏線回収や表現も豊かで、小説家としてデビューできるのではないかなと思いました。 素敵な作品をありがとうございました!
すごいです!
小説家かと思いました。というか、小説家ですか?(え) ファンタジーぽい雰囲気めっちゃ好きです!登場人物の名前も年齢も職業も全然明かされてないのに気づいたら自然に読めていたのですごかったです。目標にさせてください!