オレンジ色の歌姫の話
「ミーラ!ミーラ!ミーラ!」 ステージ下には、オレンジ色のペンライトで埋め尽くされていた。 大きなステージにオレンジ色の光。 私の後ろにはピンク、黄色、水色、紫の衣装を着たチームメイトの4人が、私の歌声に合わせてハモる。 ー秋詩未来。通称、ミラ。それが私。 アイドルグループ「パレット。」のセンター、オレンジ担当。 今日は私メインのライブ。 ペンライトも演出も、何もかもオレンジにして、私が歌う。そんなイベント。 「さあ!お次の曲は私の初めてのソロ曲! 『アフターカラー』!!」 音楽に乗って、歌う。チームメイトは涙を浮かべてハモる。 客席からは冷たい空気が流れる。 (あれ…?この曲はノリノリでポップな曲なのに…。) 私は歌う口を閉じてしまった。 それなのに、何故かスピーカーから私の歌声が響く。 (…え?なんで?私、歌ってないのに。) 『アフターカラー』の曲が終わった。 すると、私が口を開くより先にチームメイトのピンク担当のモアがわっ、と泣き崩れた。 「ちょっと。モア、ライブ中だよ?」 と、紫担当のルカがモアの背中を撫でる。 「だっ、だって!この曲はミラの始めての曲で…うぅ……」 「そうだね。本当にミラが居なくなってしまったのは悲しい。でも、最後にこの曲でミラを天国に送ろう。」 水色担当のソラがそっと優しく微笑む。 「では、聞いてください。私達のデビュー曲。『5色を混ぜると希望色』」 黄色担当のリマがそう言ったら、客席のペンライトは大きく揺れた。 …ちょっとまって。 居なくなってしまって?私が? 私ならここにいるのに、何を言っているのか理解できなかった。 すると、流れ込んできたのだ。今までの、ここに至るまでの記憶が。 何をしているんだ!! プロデューサーに怒鳴られた。 あんまり可愛くないんだね。 ドラマの共演者に言われた。 これが本当にあのオレンジ色の歌姫? 音楽番組のMCに笑われた。 気持ち悪い。アイドルなんか辞めろ。 アンチにそう呟かれた。 大丈夫?たまには休んでいいんだよ。 チームメイトにそう言われても、私は休みなんか取らなかった。 チームメイトに迷惑かけたくなかった。 それでも私は辛くて堪らなくて。 飛び降りたんだ。自宅のマンションの屋上から。 このライブは私のお別れライブだったんだね。 私の為に、4人が計画したもので。 ファンの皆も、悲しみながらライブを楽しんでくれてる。 スピーカーから録音した私の声が響く。 『5色を混ぜると希望色』は、終盤を迎えていた。 「みんなで!せーの!!」 というリマの声と。 「「「「「ミラ!ありがとう!!」」」」 響くみんなの声。 「みんな…ありがとう………。」 私は誰にも届かない声で呟いた。 ー私って幸せ者だな。 その日、オレンジ色の歌姫と呼ばれた少女は、天国へ旅立ちました。
みんなの答え
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これはすごい!
まず、結末が予想外すぎた!私メインのライブってこういう意味だったんだ。あと、ミラが歌ってたのに客席が冷たい空気だった理由とか、伏線回収が神すぎて感動しました!題材いいしストーリー組むのも上手いし、もう将来小説家になってください!
感動!!
めちゃくちゃ感動しました・・・。本当に同い年!? 私もこんな短編小説が書けるようになりたい・・・。「オレンジのペンライトで埋め尽くされていた」や「大きなステージにオレンジ色の光」などの表現が特に印象に残ったなぁ。私だったら、「ファンの人達がオレンジのペンライトを振っている」みたいなごく普通の表現になりそう(笑)。 本当に読み入ってしまう、感動する、素晴らしい作品でした。