龍になるとき
知っていた?龍は人になるって。 というか、人間は龍なんだ。 僕は龍雄、その名の通り龍らしい。らしいというのは、家族から言われてきただけで根拠が無いから。 家族によると、古い巻物には満月に生まれた赤ちゃんにある薬草を飲ませると龍になるらしい。 ただ、その薬草が分からなかったため、満月に生まれた僕にも薬草を飲ませていない。 だから僕は普通の人間で、龍なんかじゃない。 この名前が嫌いだ。 中学の入学式、僕は一目惚れした。 入学式で隣だった女の子に。名前はもちろん、クラスや小学校さえわからない子に。 でもそのくらい可愛かった。しかも僕がティッシュを落とした時ににっこり微笑んで 「はいどうぞ、もう落とさないようにね」 と可愛い声で言ってくれた。それでいい子だって分かったんだ。 次の日になると、奇跡的に同じクラスになったことが分かった。 みんなに聞きまくり、あの子の名前も分かった。 花音 とてもきれいな名前だ。 ただもう一つ分かってしまったことがあった。みんな花音のことが好きなのだ。 ある子は、前の学校では、花音の取り合いになって30人が参加したと言っていた。 そして、それで勝った子は別の学校に行ってしまった。 龍雄は、今がチャンスだと思った。 勇気を出して花音に話しかけて、告白した。 意外にもOKが出た。花音も一目惚れだったらしい。 しかし、そこからが大変だった。 今まで花音に告白してOKをもらうことができなかった人たちがせめてきた。 「今まで6年間ずっと待ってきたのにどうしてお前なんだ」 「お前なんてすぐにフラれるに決まってる」 「一目惚れなんて話にならない」 いろんな人の声を聞くたびに龍雄は胸が締め付けられる思いがした。 みんな必死なのだ。簡単に付き合ってはいけなかったのだと。 龍雄は、始めて龍の力が欲しいと思った。 今まで嫌いだったこの名前が、誇らしく思えてきた。 花音と一緒にいたいという気持ちが最高潮に達したとき、奇跡が起きた。 今までいじめてきた子達が諦めたのだ。3年も付き合っている二人を見て、無理だと悟ったらしい。 龍雄はそのとき、始めて龍になった気がした。
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自分の名前を気にする龍雄くん,センサイだなぁ~!