娘と狼
「お前を喰わせてほしい」 娘は、思った。 私が一体、何をしたというのかと。 時刻は夜遅く。一人で暮らしている家のど真ん中に、見知らぬ男が鎮座していたのである。 男の頭には一対の獣の耳がついていた。月光を反射し輝くその瞳は、野に生きる獣そのもの。その目に娘を捉えるや否や、突拍子もなく上記の台詞を発したのだ。 普通なら、ここで悲鳴をあげて家を飛び出すだろう。だがこの娘は、恐ろしく肝の据わった女であった。 「それは…捕食、という事でしょうか」 男が頷く。娘の目から光が消えた。 「お前、いつも俺の祠の掃除をしているだろう」 その姿を見ていると、どうにもだめなんだ。 で、喰わせてくれるのか?と小首を傾げる男に、娘は待って…と手を翳した。 祠、という言葉に、娘は確かに覚えがあった。この家のすぐ近くにある小さな祠には、山に棲む狼が祀られている。その祠の掃除をするのは、娘の日課であったのだ。 だが、娘には一つ気がかりな点がある。 この狼は、なぜわざわざ姿を現したのだろう。家が分かっているのなら、有無を言わさず襲ってしまえばいいものを。 そこまで考えて、娘は口を開いた。 「少し、考える時間をください…」 そんな成り行きで何故か一緒に暮らす事になってしまい、はや数週間。 一言で言うなら、平和である。 狼はちょろちょろと娘の後をついて回っては、何をしているのかと訊ねたり、幼子のようにじゃれかかってきたりした。 狩りをしに外に出た後は、必ず娘の分の肉を持ち帰ってくる。娘を気遣ってか、力仕事も進んで引き受けてくれた。 娘は、考える。 …もしやこの狼、私を美味しく育てているのではあるまいな、と。 自室にて、どさりと文机に分厚い書物を置く娘。書物の題目は「狼の習性について」。きっと狼には獲物を太らせるとか、そんな性質があるに違いない。 群れの序列、遠吠えでの意思疎通。そんな内容をざっと流し読む。書物の半ばほどまで読み進めた頃、娘の目は、とある一文に釘付けになった。 「雄の狼は、つがいになった雌に獲物の肉を贈る事がある」 そう。実際の所、狼は娘に惚れていた。 だがこの狼。色恋に疎い、根っからの朴念仁であったのだ。 あまりに強い感情にひたすら困惑した結果、これはきっと食欲に違いない、と残念な解釈をしてしまったのである。 恋心を自覚した狼が本腰を入れて求愛し、晴れて二人が結ばれるまで、あと数年…
みんなの答え
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え。かっこいい...
ども^^元りちゃのらぁゆだあよ!らぁって呼んでくれ_(:3」z)_ 最初は喰うって読んでなんかヘンゼルとグレーテル的な囚われた可哀想な怖い話だと思ってたけどなんだかんだ一緒に暮らし始めて着いてくるとことか可愛いし、じゃれるとこでもしかして..と思ってたけど次に美味しく育てているでまた喰う疑惑が出てきて「え..やっぱり喰う感じかぁ..」ってなって最後にこれは恋愛感情だったけど食欲と勘違いしていた。と。それで結ばれるまであと数年..ってところで語彙力無さ過ぎてあれだけどハラハラドキドキして本当にいい小説だったァァァァァ!強い感情という表現もよっぽど好きだったんだろうなぁと考えられて最高!うん。最初の回答がこんな語彙力ヤバい奴でごめんなさいwけどいい小説だったよ! ばいばぃ(*・ω・)ノ