蒼き巫女の物語
「ミズキ、其方は神に選ばれし巫女だ。私の跡を継ぐのはお前だと思っておる。」 凛とした神社の中、養父様は苦しそうに死の床に付いていた。 「養父様、わたくしは養女の身でございます。養父様の御子であるレン様の方が養父様の後継に相応しいのではないかと存じます。」 養父様はしばらく考え込んではっきりと言った。 「…本当なら我が息子であるレンを後継としたかった。が、レンは神には選ばれてはいない。永遠には生きれぬのだ。15から不老不死であるおまえが相応しいのだ。」 元孤児であるわたくしにとって、養子縁組をしてくださった養父様には感謝している。だが、義理の兄であるレンとは噛み合わなかった。わたくしが神社の後継となるとレンが何を言うか分からない。 「いえ、養父様。血の繋がりのないわたくしが後継になってしまってはレン様の怒りを買ってしまいます。どうかお考え直しください!」 そうわたくしが言うとうっすらと微笑んで、 「わしはミズキを信じておる。」 と言い、遥か高みへと召された。 わたくしは祈りと感謝を養父様に捧げる。 「神の身許へと帰られましたか、養父様、感謝しております。養父様の最期のお言葉を必ずや叶えます。」 聖杖を握り、魔力を流し込む。これが弔いの儀式である。 「我らが神よ。我が願いを聞きたまえ。愛する父を天へと成仏させたまえ。」 「ミズキ=フォン=アダプティド=エーヴィヒ」 わたくしの名を唱えた瞬間、青き空に裂け目ができ、養父様をお連れになった。もう、養父様はいない。これから1人でやっていくしかないのだ。 …神社の宮司を。 このことは、義兄のレンに話しておかないといけないだろう。何というだろうか。「養女のくせに」と言い、暴れるだろうか。そんな不安を抱えながらレンに会いにゆく。待っていたものは絶望だったが。 養父様が亡くなってから1週間が経った。わたくしは義兄であるレンと面会をする予定だ。レンはいつも部屋の中から出てこない。理由はわからないが。 …大丈夫。レン様をきっと説得できる。 ノックをして部屋に入る。そこにはレン様が怖い顔で立っていた。 「何の用だ、ミズキ。お前と話す口はないと言ったはずだが。」 レン様の冷ややかな口調と鋭い視線に背筋が凍る。 「養父様が天へと召されました。」 わたくしは勇気を振り絞って言った。 するとレン様はいっぺんに態度を変えて重い声となり、わたくしを罵った。 「貴様が親父を殺したんだな!お前が養子に入ってきた時から知っていた、お前は神に選ばれた子供だとか言って養子になった暗殺者だ!」 …わたくしが愛する養父様を殺すわけがありません! わたくしは手一杯反撃をする。 「レン様、誤解されていらっしゃいます!わたくしが養父様の命を奪うだなんてそんなことはこの命に換えても出来ません!我らが神に誓ってでも!」 「うるさい!嘘をつくな暗殺者!」 「わたくしは、養父様に神に選ばれたということを確認させていただいています!偉大なる養父様に逆らうというのですか!」 わたくしは必死に抵抗する。その時、レン様は後ろを向いて、 「もういい。俺はここを出る。お前の好きにしろ、養女。」 レン様はそう言い残しどこかへ行ってしまった。養父も、義兄もいなくなってしまった。これからは本当に1人である。 この神社を受け持ってから10年が経った。わたくしも15の身から見た目が変わっていない。そしていつものように神事を行う。平穏そのものであった。だがある日変化は起こった。 「ミズキ様!街が不治の病に侵食されています!」 …そんなことが!?3000年の歴史でもこんなことはなかったのに! 「わたくしに考えがある。民を集めよ」 数分後、民達が集まった。民達の前でわたくしは宣言する。 「こうなっては我が身を生贄としよう。」 そう言うと民達は焦った。 「そんな!」「我々のために!?」 …わたくしの命より民達の命の方が大切ですから。 「神の杯に蒼き聖水を入れよ!」 生贄となれば不老不死でも死ぬ。我が人生もここで終わりだ。 わたくしは蒼き水に体を預ける。 …苦しい。でもみんなの命が助かる。寂しくない。 ミズキの意識はぷつんと消えた。 ミズキの死は街中を救った。空は晴れ渡り、平穏な暮らしができるようになった。人々はミズキのことを「蒼き巫女」と呼び、語り継いでいった。それは蒼き水に体を預けたことや死んだ時に青い空を見ていたとかさまざまな諸説がある。蒼き水に浸かったものは時間が進まない。だからミズキの体もそのまま残っており神として崇めていたと言われている。その後大きな政変が起こり、歴史書からミズキの名は消えた。その後ミズキたちがどんな結末を迎えたかは分かってはいない。
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すごー!
めっちゃすごいですね! クオリティが高すぎる、、! 物語を書く才能ありすぎじゃないですか!? え!マジでいい話ですね!
すごいです
天才ですか?すごすぎます 物語が本当に好きです