短編小説みんなの答え:2

七夕の運命

「優馬っ! 一緒に帰ろう。」 『はい』も『いいえ』も言わせないほどの速さで、俺の腕に一人の女子生徒がくっついてきた。 「…おい渡辺。何回目だよ、うぜーっつーの……くっついてくんな、どっかいけ。」 俺は、いつもくっついてくるこいつが今日こそは離れてくれるようにと願って、少しだけ強く言ってみた。 しかし渡辺は気にもかけない様子で、ほおを赤く染めていた。 「も~、優馬は照れ屋さんだなぁ。ほら、『さっちゃん』って呼んでみ?」 俺はムカムカが抑えきれなくなってきた。 不登校になってやろうかとも考えたが、俺の学力で不登校なんてやったら中卒にもなりかねない。 こいつさえいなければ、今日だって友達と担任の愚痴でも言いながら帰れたのに。 「渡辺っ! ほんとうざい。分かんねぇかな!? 俺の気持ちも考えろよ!」 俺は、つい叫んでいた。 「えぇっ。なんで急に怒んの…? 優馬の気持ちを考えてここにいるんだよ、私。何か困ってんなら聞く……。」 「お前が、ここにいることが、うぜえっつってんの!! いい加減、分かれよ!!」 渡辺が かわいこぶった声を出したけど、俺は、無視して遮って、大きな声で続けた。 「…………っ。」 渡辺が息を呑む音が聞こえた。 「私、今日は…帰る。ばいばい優馬。」 そう言って、渡辺は早歩きで去っていった。 俺は、それでも怖かった。 また明日になったら、くっついてくるんじゃないのか。 俺はそれで、七夕のことを思い出した。 明日は、七夕だ。 「…そうだ。」 俺は、早歩きで家へと向かった。 ___________________________________ 私は、急に優馬に怒られて、何が何だか分からなかった。 私は今まで、邪魔でしかなかったのか。 「はぁ…。どうしよう。」 ため息が思わずもれた。 明日、また近づいたら、嫌がられるに決まってる。 大好きだったのに…。 私は悲しくなって、うつむいた。 そのとき、ふと、七夕のことが頭をよぎった。 明日は、七夕だ。 「…そうだ。」 私は家へ向かう足を速めた。 ___________________________________ 俺は、家に着くと家族が用意してくれてあった短冊を一枚取って、自室への階段を猛ダッシュで駆け上がった。 ネームペンを手に取る。 勢いをつけて、数秒で書ききった。 「どこに飾ったらいいんだろう。」 今更そんな疑問が頭をよぎる。 俺はとりあえずテープで、窓ガラスに見えるように貼った。 ___________________________________ 私は、家に着くと画用紙を引っ張り出して、定規とカッターを使って短冊形に切った。 シャープペンシルをペンたてから引き抜いて、一文字ずつ丁寧に書いた。 それに、穴あけパンチで穴を開け、紐を通して、ベランダの物干し竿に吊るした。 「完璧。」 私はそう呟いて、夕方の空を見上げた。 ___________________________________ 次の日、俺はちょっと期待を抱いて学校へ向かった。いつもは信じられない七夕が、なんだかワクワクした。 朝、ホームルームが始まるのが数十分遅れた。 先生の様子が慌ただしい。 「みなさん、落ち着いて聞いてください。」 「渡辺さきなさんが、亡くなりました。」 俺はハッと息を呑んだ。 死んだ? 俺はその事実がすぐに受け入れられなかった。 俺は子供のようにぼうっとした目で、空を仰いだ。 その日は、いつもは騒がしいクラスが静かだった。 授業中も、帰りの会も。 俺は、一人静かに教室を出て家路に着いた。 友達と帰る気にもならなかったのだ。 トボトボと曲がり角を曲がる。いつもの風景が広がる……。 キキーッ!! 嫌な音が響いた。目に映ったのは、トラック。 「ずっと一緒にいよう。」 渡辺の声が聞こえた気がした。 俺の感覚は、そこで途切れた。 __________________________________ 二人が短冊に書いた願い事。 優馬は『渡辺が、下校中に近づいてきませんように。』 さきなは『優馬とずっと一緒に入られますように。』 神様は、二人ともの願いを叶えてくれたのだ。 __________________________________ どうでしたか? 感想待ってます!

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