君の言葉
作 星影の青 「私、そんなことしてないってば!!」 「いいや。してる。完全に、アウトだろ。」 一軒家の割にはこじんまりとしたとある夫婦が住む家に、響く声。 …。俺はそのうちの1人。 未川 大志だ。もう1人。未川 秋。 秋はバカなことに、不倫をしている。…はず、だ。 だから白状させてやろうと思っているのに。 しぶとい、しぶとい。 そしてついに俺はシビレを切らした。 「ほんとに!この厄病神!出ていけ!」 その言葉を聞いた秋は、一瞬大きく目を見開いて一言。でもそれは、俺の怒鳴り声で かき消された。 「さよなら」 微かに聞こえた妻の声。でもそれは、離婚の「さよなら」ではなかったようで、 俺が仕事から帰ってきても、妻はいた。 だが、朝と様子が全く違う。 今までは、正直言って、パッとしなかった顔が、 今となると、ぱっちり二重。 輝く、さらさらとした髪。 いわゆる、「美人」というやつだ。 俺の妻は、笑顔だった。あそこまで悪いことを言ったのに、笑っていた。 笑いながら、離婚届を差し出してきた。 気づけば俺は、1人だった。ただ、1人でいた。 妻は、いや、秋という1人の女性は、不倫などしていなかった。 あのとき、俺がかき消した1人の女性が口にした言葉は、なんだったのだろうか。 「大志、私、あなたにもっと愛してほしかった。信じてほしかった。」 END