親友のために…。
「ねえ、美月!好きな人できた?」 隣から、小学4年からの友達、いわば親友の夏穂に言われた。夏穂は、心を許せる友達で、私が3組のイケメンな転校生、堀口マサトに恋していたのを知っている。 「マサトくんいいと思うけどなぁー。」 下校時刻をとっくに過ぎているのに、こうやって夏穂とは、ゆっくり話しながら帰るのが日課だった。 私の名前は、美月。受験勉強に追われている、小学6年生だ。クラスは違うけど、親友の夏穂は、いたって普通の私に比べて美少女だ。美少女だし、勉強できるしで、好きな人に最近告られてOKし、彼氏ができたばかり。だからか、話は恋バナばかり…。しかも、私が諦めたばかりの、夏穂と同じクラスのマサトくんの話題ばかり出してくる。 「あー、彼氏欲しいなぁー。」 私がいつもの口癖を言うと夏穂は、 「だったら、猛アタックしちゃいなよぉ~!」 と言ってきた。そろそろ、私の家が見えてくる。ここで、夏穂とは別れる。いつも通りに、話が終わり、別れた。 「あー、疲れた。家帰りたくないなぁ。」 そう言いながら、家に歩いていると、男の人に声を掛けられ、振り返ると同時に頭に袋を被せられた。 「キャー!ギャー!助けてー!」 どれだけ声を大きく出しても誰も来ない。車に入れられて、私は暗い事務所みたいな所に連れて行かれた。そして、袋を取られ、パイプ椅子に座らされた。周りには、男3人と女1人がいて、その女が、私だけ連れて奥の部屋に連れて行った。 「お前の名前は、神崎夏穂。間違えないな。なぜここに連れてこられたかわかっているだろう。お前の父親が、お前を殺せ!といったからだ。酷いことをしたのだろうね。あー、かわいそうに。ふふふふふ。」 夏穂と私が勘違いされてここにきたことがわかった。 「あ、あのー。最後に親に手紙を書いてもいいですか?」 喉から搾り出すように声を出した。 「ん?あ、いいわ。ちょっと待ってなさい!」 そう言い、その女は部屋を出て行った。溜め息を吐くと共に、目からしずくが落ちてきた。透明な…。私は、勘違いされて、ここにきた。そして、殺される。目からのしずくが止まらなくなり、親友をかばいたい気持ちが強くなって行った。いつも、よくしてくれた、母と父。兄と姉は意地悪をしてきたけど結局は優しかった。でも、学校が辛くて、死にたくて…。学校の屋上に行って、夏穂に止められたこと…。女が帰ってきて便箋と封筒を渡し、手の縄を解いてくれた。そして、ボールペンを私に渡し、部屋を出て行った。便箋がなくなるまで、ギリギリまで、手紙を書いた。遺書を書いた。感謝の言葉を並べて…。 ー美月の姉(綾)目線ー 「ただいまぁー。」 部活が長引き、今日も帰りが遅くなったが、いつも笑顔で迎えてくれる妹の美月がいないことにはすぐに気づいた。もう、18:30だ。美月がいないのはおかしい。両親などに連絡したが、すぐ帰ると言って、切られてしまった。電話帳の、電話番号を見ながら、美月に関係ありそうな人に電話して行った。そして、最後に美月の親友、神崎夏穂ちゃんの家に電話すると、ちょうど、留守番だったらしい夏穂ちゃんが出て、 「美月ちゃん…。もしかしたら、誘拐されたのかも。」 と、父親に反抗し、昨日その後父親が殺し屋に電話していたことを話してくれた。私は、念の為帰ってきた兄の駿に警察を呼んでもらい、帰ってきた両親に事情を話し、警察に話してもらった。 ー翌日ー 警察から、美月が見つかったと連絡が入り、急いで病院に家族全員で行った。美月は、弱々しくなっていて生きてはいたが、余命が、あと10分だと告げられた。美月にかけより、色々と話した。でも、5分も経つと、美月は動かなくなり、死んだ。美月を誘拐した誘拐犯は捕まった。夏穂は、元々母親が幼い頃に亡くなり、親戚も引き取らず父が捕まったため、美月の代わりとして養子として、うちに来た。美月は亡くなったが、美月の代わりに夏穂が家を和やかにさせてくれている。 ー夏穂目線ー 私のせいで、親友の美月が亡くなり、頼る人がいなくなった私は美月の家族に養子として入った。最初は申し訳なかったが、みんなが私を認めてくれて、今は楽しく暮らしている。美月は、私はモテないと言っていたが、本当は堀口マサトくんに、ラブレターを渡すように言われていたのだ。堀口くんから、美月へのラブレター。ラブレターを、見つめながら、親友の分もしっかり生きることを誓った。