勇者と魔王
私は勇者だ。ただ目の前にいる魔王を倒すだけの存在。 私は人間が憎い。私一人に全ての責任を負わせて魔王を倒させようとした。 でも、魔王を倒せば人間は私を英雄だと思ってくれるに違いない。 それなのに・・・ 目の前にいる魔王は、私よりも清らかな心と笑顔を持っていた。 そしてその瞳を見た瞬間に私は、人間以上にこの魔王に対する憎しみを感じた。 だからだろうか。 私は魔王に敗北したあと、殺されることも逃げることもせずに、 あと少しの魔力で自らを悪魔として復活させた。 <数年後> 俺は勇者だ。俺は魔王を倒すために禁忌に手を染めた。 俺は悪魔の力を使い、人間を殺してまで魔王を倒そうとした。 しかし、目の前にいる魔王はとても俺が倒せるような者ではなかった。 俺は悪魔の力を使い、武器を創造したり大きな力を手にいれることができた。 しかしその代償はあまりにも大きすぎた。 悪魔の力を使うたびに、俺の生命力を大きく削られた。 ある日廃人になりかけた俺は、悪魔になんとかしてくれと願った。 すると、周りにいた人間が全員即死した。 そして俺の体は徐々に回復していった。 俺は、人間を殺したことを知り後悔した。 しかし、こうなったからには必ず魔王を倒さなければならないと思った。 だが、魔王の力は俺を超えていた。 俺は魔王に勝てないと知り、最後に俺を殺してくれと魔王に頼んだ。 人間を殺し、魔王にも勝てない俺が生きていていいわけがない。 だから・・・ 俺は魔王だ。 ある日最強の力を手に入れた俺は魔王を名乗ることにして、世界を破壊しまおうと思っていた。 しかし、この世界は破壊するには勿体無いと思い、人間たちを観察し続けてある時は勇者と戦ったりもした。 ただ、一度だけ人間を強く恨み続けた者がいた。 そいつは悪魔になったが、俺と戦う事はなかった。 そして、今度は自分を殺してくれと言う勇者がいた。 俺は少し迷ったが、せめて痛みを感じないように強力な魔法で一撃で殺そうとした。 そいつが人間だったのなら、肉体もろとも一瞬で消滅していたのだろう。 しかし、魔法が勇者の身体に触れた瞬間、魔法が消滅した。 そう、もう勇者は勇者ではなくなっていた。 魔王の魔法により勇者の肉体が崩壊する瞬間に、私は魔法を吸収した。 そして、勇者の精神が消滅したことを確認して、魔王を殺した。 魔王を吸収して私は最強の力を手に入れた。 ここまで長かった。 悪魔へと身を転じた私は肉体を作り変えようとしたが、人間の体はその強いエネルギーに耐えられなかった。 私は肉体を捨て、再び勇者が現れるのを待った。 私は勇者に取り付いて、自分で悪魔を召還したかのように記憶を改ざんした。 記憶の改ざんには限界があったので、あとは好きにさせた。 しかし、肉体が手に入ったのは好都合だった。 この体ならば私と適合することができ、魔王を殺すほどの強いエネルギーをてにいれることができた。 そして私は世界を破壊しようとした。 人間への復讐が始まったのだ。 <未来> 魔王の手によって荒廃した世界。 しかし、そんな中でも人間は生きていた。 ある日魔王は殺戮と破壊を止めた。 そして再び文明が発達し、勇者が生まれた。 私は愚かだった。 人間の中には、邪悪な者もいれば、正義の心を持った者もいた。 人間の力は素晴らしかった。 それなのに私は、なぜあんなことを・・・ そして、勇者が現れた。 どうやら私はここまでのようだ。 最後に私は、勇者に世界を破壊してはいけないと教えた。 今はわからなくてもいい、だけどいつかは思い出してほしい。 そして、魔王は勇者に倒された。 勇者は大きな力を手に入れ、魔王を名乗った。 そして、新たな勇者が誕生する・・・ <完>