男の拳はなんのためにある?
「放課でのんびりすんのは良いもんだ。」 そう呟きながら学校の放課後の廊下をほっつき回ってる男の名は架闘 拳太(かとう けんた)ごくごく普通の高校1年生だ。 趣味は散歩、喧嘩を起こしたりしたことはもちろんない。クラスメイトに認識はされてるが友達はいない…ぼっちというやつだ。 そうしてほっつき回っていると、何か変な会話をしてそうな現場を見た。 (話しかけてる方は男子で、嫌がってる方は女子かな?)女子の方は拳太のクラスメイトの1人、天海 結華(あまみ ゆか) この学校でもかなりの美人だ。 男子の方は3年生の雪美弥 拍世(ゆきみや はくせい)この学校では名の知れたヤンキー。「白虎」という二つ名がつくほど喧嘩が強く、周りから恐れられている。 「なあ、今から一緒にカラオケ行こうや。」拍世がいっても結華は首を振るばかり。拍世は痺れを切らしたのか無理やり連れて行こうとしている。 拳太は己の拳を見つめて、父が昔言っていた言葉を思い出した…「その拳は、もしお前に守りたいもんができて、それが傷つけられそうになったときに使え。使う時を見極めなきゃ後悔するぞ。」 「今が、その時なんだろ…父さん。」そういって、拳太は拳を強く握りしめて拍世の所へ向かって歩いた。 「おい、てめえ俺のクラスメイトに何してんだ。」拍世は威圧感のある目でこちらを睨んできた。「誰だよお前、関係ねえだろ。どっか行け。」 「関係なくなんかねえよ。そいつぁ俺の、クラスメイトなんだ。」 「やる気か?お前。」拍世は挑発じみたことを言った。拳太はこう返した。「俺は至って最初っから殺る気満々だよ。おっぱじめるか?喧嘩」 「良いぜ、やってやるよ、喧嘩。ボコボコになっても知らねえぜ。そっちからきな。」 「高三なりの慈悲はあるみてえだな。それじゃ、お言葉に甘えて」拳太がそう言い放った瞬間、拍世の脇腹と腹に拳太の拳が5発入った。 「グボァ」 拍世はあまりの痛さにその場に倒れてしまった。 「大丈夫か、結華。」 「うん、大丈夫…それにしても、ほんと見事に腹と脇腹だけに入れたわね。殺意ダダ漏れだったよ。」 そういって、結華は少しだけ笑みを浮かべた。 「守りたいもんが、傷つけられそうだったからな…」 「ん?なんかいった?」 「いんや、なんでも。」 〔おしまい〕