短編小説みんなの答え:3

「ありがとう」って伝えたい

カサカサ… 気が揺れる。 ピィッピイッ 鳥が鳴く。 そんなのどかな毎日。 「喋れないんだ。じゃあバイバイだね!」 そう言ってニコッと笑う女の子。 やだっ、行かないでっ! 記憶に鮮やかに残る。 こんなの思い出したくもないのに… 私の手放したもの___。 「はーい。今日は転校生が居まーす!」 先生が元気にいう。 喋れない私にとってはすごく過酷。  転校生は私からすると敵だし。 「入ってきて~」 先生がそう言って手招きするとドアがガラガラと音が立てて開く。 「転校生の青崎蒼斗さんです。仲良くしてね。席は一ノ瀬さんの隣で!」 先生はそう言うと蒼斗さんの背中を軽く押す。 私の隣… 「よろしくね。一ノ瀬さん!ニコッ」 蒼斗さんはそう言うと眩しいくらいに笑った。 「 (*- -)(*_ _)ペコッ」 それに比べて私は喋らず、失礼すぎる。 ほんと…どうにかしたい。 私は本当に喋れない。 この人生で一度も喋ったことがない。 だからいつも人に嫌われる。 喋らないから友達になれない。 喋れないから嫌われる。 そんな正論が突き刺さる。 もう、、、本当に、、、 「ノ瀬さん…一ノ瀬さん!」 隣から呼ばれてハッと顔を上げる。 「大丈夫?ずっと顔をうずくめてたけど…」 蒼斗さんが私の顔を覗き込む。 嬉しいけど、私は遥かに驚きが勝っている。 なぜ、、、喋らない私を親切に、、、? そんな疑惑が頭を走る。 「一ノ瀬さん?本当に大丈夫?」 考えすぎて蒼斗さんを見ていなかった。 私は混乱で適当にお辞儀をした。 放課後の教室はガランとしている。 誰もいなく、とっても静か。 私はこの環境が大好き___なはずなのに。 なぜか今日は安心できない。 原因はわかっている。 蒼斗さんだ。 蒼斗さんはなぜ、私を親切にしてくれたのか。 そんな人は1人もいなかった。 みんな、「頑張ってね。」 としか言わない。手伝ってくれない。無視する。 そうだったのに。 初めてだ。他人に親切にされたの。 今、私はこの一言が言いたい。 『ありがとう』 これだけで_____。 「何やってるの?」 後ろから呼ばれてバッと振り向く。 蒼斗さんだ。 「…っ」 私が混乱であたふたしていると。 カタンと音を立て、蒼斗さんは私の隣の席に座った。 「忘れ物したから取りに戻ったら、一ノ瀬さんがうずくまってたんだよ?何かあったでしょ?」 蒼斗さんがいたずらっぽくニッと笑う。 やっぱり、蒼斗さんにはお見通しだな。 やっぱり、なんとしてでも言いたい。 何としてでも…っ! 「ありがとう…」 私の口が開く。 その一瞬、時が止まったようだった。 私の口から、、、言葉が? 私は驚きすぎて固まる。 でも、驚いている人がもう1人。 蒼斗さんだ。 青砥さんは驚き、目を見張ってる。 「今、、なんて、、、」 蒼斗さんが言葉を漏らす。 私は嬉しくて蒼斗さんに抱きつき、言った。 「ありがとう」

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