短編小説みんなの答え:4

たんぽぽの綿毛

小さい時のある春の日。 散歩をしていると、道端に私より小さいたんぽぽが咲いていました。 真っ黄色で、イキイキしていました。 踏みつけられても、すぐに起き上がっていました。 次の日もまた、元気に咲いていました。 昨日から外にいたのかな。それなのにこんなに元気なんだな。 私と違って、小さくてもとても強いということがわかりました。 それからずっと、お出かけをするといつも目が合うようになりました。 私が手を振ると、振り替えしてくれているかのように風で揺れていました。 5月中旬、たんぽぽはしおしおになってぐったりしていました。 私はとても心配しました。 ご飯ちゃんと食べてるのかな。ぐっすり眠れてるのかな。 …そんな心配してる私の方が眠れませんでした。 次の日、とても心配だったので見に行きました。 するとそこには、黄色ではない…白いホワホワしたものがありました。 たんぽぽ、どうしたんだろう。やっぱり元気なくなっちゃったのかな。 色々考えていると、強い風が吹きました。 そうすると白いホワホワしたものは、空へ舞い上がりました。 なんだ、まだ空を飛べるほど元気なんだ。そう思って帰りました。 数日経ちました。 また見に行くと、そこにたんぽぽの姿はありませんでした。 消えちゃった。いなくなっちゃった。 泣きそうになりました。 ふと空を見上げると、あの白いホワホワしたものが飛んでいました。 ああ、そうだ。 たんぽぽはきっと、旅に出たんだ。新しい場所を探しに。 私だって旅したい時はあります。 ずっと同じ風景だと嫌になっちゃいます。 きっとたんぽぽも、空からの景色を見たかったのでしょう。 私は空に大きく手を振り、ばいばい、と言いました。 10年ほど経った今でも、そのことは鮮明に覚えています。 そして、春になると見かけるたんぽぽ。 今でも思います。 このたんぽぽはもしかしたら、あの時旅に出た たんぽぽなんじゃないかと。 そんなのわかるわけありません。 でももしかしたら本当にそうかもしれないじゃないですか。 だからいつも、たんぽぽを見かけたら手を振ります。 もし振り替えしてくれたら、そのたんぽぽはきっと、あの時のたんぽぽなのです。

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