白樺林での初恋
「ルルル~♪」 (あれ?この声、どこから聞こえるのだろう?) 僕は、海斗(かいと)。 今日は、休日で暇だったから、近所を散歩していた。そしたら、いつの間にか迷子になってしまった。ていうか、中2で迷子ってどういうことだよ()。今は、知らない白樺林の中にいる。多分、家の後ろの森に迷い込んだのだろう? 「あなたは誰?」 突然、真横から声がした。 顔を向けると、そこには女の子がいた。お姫様みたいなフリフリのワンピースを着ていて、長くてサラサラな髪の毛がそよ風にゆれた。 (可愛い//この子、誰だろう?) 「僕は、海斗。この近所に住んでるの。君は?」 「私は、詩(うた)よ。海斗くん、よろしくね。」 詩ちゃんが微笑んで、胸がきゅんとした。 (これは、恋なのか?僕、まだ恋をしたことがないから、分からないけれど...。) その後も、僕は詩ちゃんに会いに行った。詩ちゃんはいつも、白樺林の中にいて、必ずあの歌を歌っている。何の曲かは分からないが、聴くと心が癒される。 詩ちゃんと出会ってから1ケ月。 僕は、今日も白樺林に入って詩ちゃんに会いに行く。しかし、詩ちゃんの歌声は聞こえない。 心配しながら探すと、詩ちゃんは白樺の木の近くでうつむいて座り込んでいた。 「ごめんなさい、海斗くん。私、実はこの白樺林の妖精で、人間じゃないの。」 (え?どういうこと?頭がついていかない。理解できない――。) 「今日、私は、妖精の国に帰らないといけないの...!」 (つまり、もう詩ちゃんと会えないの?もう、あの歌声を聴けないの?) 僕は、悲しさと戸惑いで泣きそうになった。きっと、詩ちゃんも同じように苦しいだろう。いや、もっと苦しいのかもしれない。なのに、僕が泣いたら、詩ちゃんも泣いてしまうだろう。大好きな詩ちゃんを泣かせたくはない。 僕は、優しく微笑んでこう言った。 「詩ちゃん。僕は、君が好きだよ。さようなら、元気にしていてね――。」 最後の方はもう、ちゃんと言えていなかったかもしれない。でも、僕の想いは詩ちゃんに伝えられた。 「海斗くん。私も、海斗くんが好きだよ。さようなら...!」 詩ちゃんは、それだけ言うと、一粒の涙をこぼして、幾千もの光になって消えてしまった。 しかし、詩ちゃんは消えてしまったが、僕のこの想いは消えないだろう。 詩ちゃん。僕は、君が好きだよ。