ありがとうと言わせてよ
「え…」 私、野辺 しのか。高校2年生。私は気がつくと、どこかわからないところにいた。 (あら、新しいお客様?) 「あぇっ!?」 (あらあらそんな驚かないで。あなたは別に死んだわけではないから…安心して。私の名前はマナール。よろしくね) 「いやいや。よろしくだけどマナールさん。速く戻りたいんだけど。元のあの世界に…。なんで私だけ?」 (あなただけじゃないわよ。ここに来た人は。ここわね?どこか選択を間違ったり未来に迷ったりしたときここで何か感じてほしいの。それで元の世界に戻る感じねっ。) 「はぁー。でも私、人生で何も間違っていな…。」 (いいえ、あなたは何か違うと思っているはず。じゃなきゃここに来られないもの。) 「なにか違う…」 「私は」(あなたは) 「(クールと冷たいの境界線を間違った)」 (うふふ。はもったなんて初めてよ。) はもったの私も初めてだ。 「じゃあ私は何をすればあっちの世界に戻れるの?」 (そんなにもどりたいの?会いたい人がいるの?) 「…いるのかな…。」 家族には会いたいけどそこまでじゃない。 (なら学校は?平日の半分を過ごしているでしょ?) 「学校…」 クラスメイト、先生…。クラスメイトは、いつも素っ気なくしてるのに話しかけてくれる、かの、みゆ、あきは。いつだって、何かしてても話しかけたら手を止めて聞いてくれる、笹川先生。それから、いくつお世話になったんだろう。 (そんなにお世話になっている、あなたは何か返してあげた?感謝の言葉は?) 「…言ってない。」 どうして気づかなかったんだろう。いつも話しかけてくれてるのに、「はい」「うん」「そうだね」…。「ありがとう」は?ありがととかは言った記憶はある。でも感謝の気持ちはあったの?心を込めた? (じゃあ、あなたに今足りないのは?) 「ありがとうと心を込めて伝えること。」 (ほう。いいんじゃない?はいっ) 「なにこれ…?」 マナールさんから、白が多めのピンクの紙を受け取った。 (それは別世界の人にどうしても伝えたいことがある時に送る、最上級の手紙。これを書いて、心を込めて書けばその人の心に届くわ。 「…。じゃあ、書く…」 (ん?何か足りないんじゃない?) 「あっ。ありがとう!」 それから私は心を込めてきれいな字で書いた。そしてありがとうと伝えたい人の元へー。 今なら言える。 本当に ーありがとうー