短編小説みんなの答え:10

片想いエール【片想いの人は読んでほしいな】

「私は・・・宙街君のことが、好きです・・・」 消えてしまいそうな、声。ガタガタと震える、足。 私は彼ー宙街響輝(そらまちひびき)に、愛を告げた。 彼は、モテるわけではない。頭がいいわけでもないし、悪くもない。運動神経も、そんな感じ。ただ、彼の人一倍の明るさ、優しさに、心が惹かれたんだ。 ドクドクドク… 聞こえるのは、自分の激しい心臓の音だけ。 「兎川さん」(うかわと読みます) 「っ…!!は、はいっ!」 いきなり自分の名前を呼ばれ、肩が跳ね上がった。おかげで、変な高い声が出た。 「ありがとう。君の気持ちは…とても嬉しい」 ヤバい、心臓が。 「でもね、」 「好きな人、いないんだ」 冷たい風が、私をなでる。凍りつきそうな、冷たい風が。 「だから…」 「ごめんね。兎川さんとは、お付き合いできない」 彼は、「じゃあね」と残し、その場から去った。 裏庭に一人、残される。そして、大粒の雨が、私を襲う。 声が出ない。手足はひどく震える。やっと、まともに声が出たのはー 大声で、泣き叫んだ時だった。 「おはよー!愛羽ー!」 登校中、昨日の大雨が嘘みたいな空の下、私の友達-鈴音瑠璃花(すずねるりか)が、声を掛けてきた。 瑠璃花は、私の恋を、とてもとても応援してくれた。私が告白しようと思えたのは、この応援のおかげ。 「おはよう」 いつもより少し暗い挨拶を、返した。 「今日はホントにいい天気だね…って、ああ!!」 急に叫んだから、心臓が止まるかと思った。 「告白の返事、どうだった!?」 小声になり、私のほうにニュッと顔を近づけてきた。 …ああ、やっぱ聞いてくるよね… 頭が痛くなりそうなほど、悩む。何て言えばいいのか。 「瑠璃花」 「ん?」 「今まで恋の応援、ありがとう。」 「えっ、」 「私が喜んでいたとき、瑠璃花も自分のように喜んでくれた。私が悲しんでいたとき、「大丈夫、大丈夫」といいながら、頭を撫でてくれた。そんな瑠璃花には、とてもとても、感謝してる」 「急に何をっ」 「昨日告白、頑張った。緊張しすぎて、声も足も震えてたけど。」 「あのさ、」 泣かないように、必死に微笑む。 「振られたんだ」 ああ、絶対、上手く笑えてない。 「えっ…」 瑠璃花は、私から目を、外さない。 「頑張ったよ…」 泣くな 「人生で一番勇気出したんだよ…」 もう、泣くな 「叶わなかったんだよ…っ…!」 気付けば、瑠璃花にしがみついていた。 涙を、流して。 駄目だよ…甘えるなんて… なのに、瑠璃花を離せないし、涙もやまない。 「愛羽…!!」 瑠璃花は自分のリュックを地面に投げつけ、私を抱きしめていた。 「大丈夫…!!!」 泣いて、る…? 私の背中に、冷たいものを感じる。 そして、太陽が、瑠璃花を照らしつけた。 「叶わない恋なんて、ないんだよ…!!!」 この言葉に、どれだけ救われたのだろう。 瑠璃花は、より一層、私を強く抱きしめる。 「いつか絶対、両想いになれる…!」 泣きながら、必死に続ける。 「世の中…っ、失恋して、恋を諦める人が、ほとんど…だよ…でも…っ、絶対に、諦めないで…!」 「瑠璃…花…っ」 「チャンス…っ!いつか絶対…っチャンスが訪れる…っ!たとえ、好きな人に好きな人がいたとしても…っ何回も告白して、努力して…っ…そしたら、絶対振り向いてくれる…!」 「チャンスを…、待て…っ…!」 「片想いは、辛い…っ…辛いかもしれない…っ!でもさぁ…っ、チャンスが訪れるまで…っ、片想いを…っ楽しも…?」 どうして…っ?どうしてそんなに、優しいの…っ? 「瑠璃花…っ…大好きだよ…!」 「私…っ頑張る…!チャンス…っ、待つよ…!だからさぁ…!」 「うん…っ」 「また、恋の応援、してくれる…っ?」 「もちろんだよ…!!!」 より一層晴れた空の下、二人で約束を交わした。 諦めない。絶対に。 努力して、笑顔を心がけて、二回目の告白をした。 振られた。 諦めない。諦めないよ。辛くても、片想いを楽しめばいいんだから― 三回目の告白をする日。 成功したら、いいな 「まだ私は、宙街君のことが、好きです。…しつこくて、ごめんなさい。」 心地よい風が、私を撫でる。 「僕のこと…そんなに…す、好き、なの…?」 「…っ!は、はいっ…」 思わぬ質問に、照れながら答える。 「兎川さん」 「はい」 「僕と、付き合って下さい。」 「僕も、素敵なところがたくさんある、兎川さんのことが、大好き」 今…今、なんて… 「…っ、本当…?」 「もちろん。」 叶わないはずだった、私の恋。 叶った…やっと、叶えたんだ…!!! 「私からも…、付き合って、下さい」 快晴の空の下、私は心の中で、一人呟いた。 瑠璃花、ありがとう。

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