あなたがいなくなる前に
ある雨の日、ハナさんは骨になって帰ってきた。 骨になったハナさんを届けてくれた男の人は、僕に向かってこう言った。 「ハナはきっと、迎えてくれる人がいて幸せだね」って。 幸せ。しあわせ。 ハナさんは本当に僕と一緒にいて幸せだった? だって僕、一回だってハナさんに、__________。 『好きだよ。』 ハナさんがいなくなる前、ハナさんは僕にそう言った。 すきだ、って。あいしてるよ、って。 じゃあ僕は? 一回だってハナさんに好きだなんて言っていない。 言わなかった。 愛している、と伝えなかった。 そしてハナさんとは、もう二度と会えなくなった。 「ハナさん。すきだよ。ずっと。僕も大好きだよ。あいしてる。」 僕はハナさんが入っている箱をぎゅっと抱きしめた。 もっと、もっと、声なんて出なくなるくらい、ハナさんに好きだと伝えればよかった。 伝えたかった。 「ごめんね。ハナさん。ごめん。ごめんね。」 抱きしめた箱には、僕の涙が染み込んでいた。