さようなら、また会う日まで。
ここは何処だろう。 辺りは暗く、何も見えない。 何処かも分からない場所を彷徨いながら、 まるで何もない深い深い海の底にいるような静寂に不安を覚える。 しばらく歩いていると、 向こうからわずかな光が漏れ出ているのが見えた。 なぜだろう、ここは暗いはずなのに。 だが、いつまでも続く暗闇に不安を覚えていた私はそのわずかな光に安堵し、 光の方に足を動かした。 ずっと歩いていると、光の向こうに人影が見えた。 私は好奇心でその人影に近づき、 後もう少しで顔が見える時に私に気がついたのか、 丁度良くこちらを振り返った。 「ーーっ」 人影の正体であるその人は、息を呑むほどに美しかった。 整った顔に、漆黒の綺麗な髪。 吸い込まれそうになる、まるで星空のような深い青色の瞳。 (男の子、、、だよね) 中性的な顔立ちをしているが、おそらく18歳くらいの男子だろう。 彼は私を見て目を見開いた。 「ーーーーーーーーーーーーーー」 何て言っているんだろう。 彼がなにを言いたいかは分からないが、 何かを伝えたいことは分かる。 「え!?っちょ、え!?」 その時、私の体が宙に浮いた。だんだん上に登っていく。 (あ、、、) 心なしか、彼が安心したように見える。 「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」 視界が暗くなる直前、彼が優しく愛おしそうに、でも少し悲しそうに笑ったのが見えた。 あの泣きたくなるような笑顔を、私は知っている。 ______________そうだ、彼は_______________ 「ん、、、うぅん」 目が覚めたら、私は病室のベットの上にいた。 いつもと同じ場所、いつもと同じ光景。何も変わらない。 私の名前は朱音。16歳。 生まれつき心臓に病気を持っていて、ほとんどの時間を病室で過ごした。 そんな私を支えてくれたのが、幼馴染で彼氏でもある秀君だ。 秀君は私より二個上の18歳で、とにかく美形。 特徴的な深い青色の瞳を持っている。 私はいつも優しい秀君のことが大好きだった。 だけど秀君は数ヶ月前交通事故に遭い、 私よりも先に天国へ行ってしまった。 そしてその数ヶ月後、私は体調が悪化してしまい、 看護師さんが言うには命の危機で、かなり危ない状況だったらしい。 あれから目が覚めた私の病室を訪れた人たちは、 みんな「奇跡だ!」と言い涙を流しながら喜んでいた。 その様子を見ていると、私は大切に思われているんだなと改めて実感する。 (あ、そっか、、、) あの時の人は、秀君だったんだね。 今なら彼の言いたかったことがなんとなく分かる気がする。 『朱音、まだこっちには来るな!』 『君はもう大丈夫。大好きだよ、朱音。またね。』 「っ、うん。私も大好きだよ。秀君。ありがとう。」 さようなら、また会う日まで。