青春の夏
夏休みの最後の日、僕は彼女と海に行った。彼女は水着に着替えると、さっそく波に向かって走っていった。僕は彼女の後ろ姿を見ながら、この一年間のことを思い出した。 僕たちは同じクラスで、初めて話したのは図書館だった。彼女は本を借りるために並んでいたとき、僕の前にいた男子が突然倒れてしまった。僕は慌てて救急車を呼んだが、彼女は冷静に男子の様子を見て、人工呼吸を始めた。そのときの彼女の勇敢さと美しさに、僕は一目惚れしてしまった。 それから僕は彼女にアプローチするようになった。彼女は本が好きで、特にミステリーが好きだった。僕もミステリーが好きだったので、本の感想を交換したり、推理クイズを出し合ったりした。彼女は頭が良くて、僕よりもよく答えられた。でも、彼女は自慢したりしなかった。むしろ、僕の意見を聞いてくれたり、褒めてくれたりした。彼女は優しくて、笑顔が素敵だった。 僕は彼女に告白するチャンスを探した。でも、なかなかタイミングが合わなかった。彼女は人気があって、他の男子からも声をかけられていた。僕は嫉妬してしまった。でも、彼女は誰に対しても平等に接していた。彼女は誰かと付き合っているわけではなかった。 夏休みに入ってから、僕は勇気を出して彼女に電話した。海に行こうと誘った。彼女は快く承諾してくれた。僕は嬉しかった。 そして今日、僕は彼女と海に来ている。彼女は波に飛び込んで楽しそうだった。僕も水着に着替えて、彼女の元へ向かおうとした。 そのとき、携帯電話が鳴った。僕は荷物の中から携帯電話を取り出した。画面には「ママ」という文字が表示されていた。 「もしもし」 「あなた、どこにいるの?」 「え?海だよ」 「海?どうして海なの?」 「え?だって夏休みだし」 「夏休み?あなた、今日学校あるわよ」 「え?」 「今日は補習日よ。あなた、忘れてる?」 「え?」 「早く学校に行きなさい!先生から電話が来てるわよ!」 「え?」 僕は携帯電話を耳から離した。目の前の景色がぐるぐる回っているようだった。 「嘘だろ……」 僕は彼女の方を見た。彼女は波に揺られていた。彼女は僕に気づいて、手を振ってくれた。彼女は笑っていた。 「嘘だろ……」 僕は携帯電話を握りしめた。携帯電話は再び鳴った。 「あなた、まだいるの?早く学校に行きなさい!」 「嘘だろ……」 僕は泣きそうになった。この一年間のことが、全て夢だったというのか。 「嘘だろ……」 僕は叫んだ。 「嘘だろ!!!」