暗い心に花束を
私は花束を抱えて、親友のところに行く。 これまでの話を、ちょっとだけしたいと思う。 私の親友は、花屋の娘として生まれた。 だから、花や花言葉をたくさん知っていて、私にも教えてくれた。 そして、特別なことがあると、毎回花束を用意してくれる。 花束に必ず入っている花が、オレンジ色のバラ。 花言葉は、『友情』とかなんだって。 私たちの関係が、いつまでも続くように入れてくれているんだって。 喧嘩なんてしたことないし、お互いが大好きだし。 恋人なんて出来なくたっていい。私には、恋人以上に大切な人がいる そう思えたし、そう思えることが嬉しかった。 最近は、親友に会うことが少なくなっていた。 だから、今回は、私が花束を用意してあげたんだ。 喜んで、くれるかな? 白い扉を開ける。 ベッドに横たわる親友がいる。 親友は、一年前、交通事故にあって、今でも目を覚まさない。 今でも暗闇の中にいる、親友に、少しでも明るい光が差しますように。 私は、彼女の胸の上に、オレンジ色のバラを乗せた。 花言葉は、『絆』。 目が覚めても、覚めなくても。 私たち、ずっと絆で結ばれてるから。 そう思いながら目を閉じた。 本当はわかっていたんだ。 交通事故にあったのは、親友じゃなくて、私だってこと。 オレンジ色のバラがたくさん咲くあの場所で、またお話しようね。