短編小説みんなの答え:1

雨の祝福

君が私のことを名前で呼んでくれたことは一度もない。 いつも、「七瀬さん」とか、「あの」とか。 今、窓の外に降り続ける雨が私の心を表している。 隣で君がこそこそと私にこう言ってきた。 「七瀬さんって、傘2つ持ってますか?僕、忘れちゃって……」 ごそごそと机の横にかけてあるかばんをさぐる。 折り畳み傘は一つしか、かばんの中に入っていない。 「白石さん。私、傘1つしか持ってないです。すみません」 私がそう言うと、君はハッとひらめいたようにこう言った。 「だったら、僕が七瀬さんの傘に入れてもらうのはどうですか?帰り道同じですし」 心臓が騒がしく音を立てる。だめだ。断ろう。 目が合うだけでも心臓が忙しいのに相合い傘なんて心臓が止まる…。しかし、 「白石さんが良いなら……」 と、気づいたら口に出ていた。 とうとう約束の放課後になった。 「お隣、失礼します……」 君が傘をさしている私の横に来ている。 ――やっぱり、相合い傘は距離が近い!! なんて悶々と考えている間もなく、君はこう言った。 「七瀬さんって、好きな人いますか?」 ――唐突!!!私の心臓を止めようとしているのか! 「いますよ」 「誰ですか?」 今隣にいる人です。なんちゃって! 「今、隣にいる人。です…」 口に出ていた… 「えっ――。僕も、同じです。」 「それじゃあ、今日から、すずだね。」 すずというのは、勿論私の名前です。 「ふふ、それじゃ、今日から、蒼だね。」 蒼も、私の大好きな君の名前。 これが、君と私が名前を呼び合うようになった瞬間だった。 ―ポツ、ポツと聞こえる雨の音が、私と君を祝福してるように感じた。 はじめまして! 葵と申します!これから短編小説を沢山あげていきたいと考えているので、見て頂けると嬉しいです! 小説を書くのも初めてなので、おかしい所があったらすみません!

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