ふたりはひとりぼっち。
暑くて、冷たい夏。 私はこの世界から消えた。 親友の鈴(すず)は私のお墓にお花を供えに来た。 やけに暗い顔をしてるから、 私は鈴に話しかける。 「最近暑いねー。私は暑さとか感じなくなったけど。えへへ。」 「…。」 鈴は何も喋らない。 「あ、そっか…聞こえてないんだったね…」 私の声は、もう鈴には届かないんだった。 鈴はお墓にお花を供えると、 ポロポロと涙を流して泣き出した。 「なに泣いてんの!もー、鈴は泣き虫だなぁ。」 そう言って笑ったけど、鈴は泣いたまんま。 「もう…泣かないでよ…。」 なぜか、私も涙が溢れてきた。 私は鈴の頬に伝う涙を手で拭(ぬぐ)おうとした。 だけど、私の手はどうしても涙に触れられない。 鈴の肌に触れられない。 「美咲(みさき)…いるなら…ここにいるなら、 ひとりぼっちにしないで…」 鈴は震(ふる)える声でそう言った。 「ここにいるよ、鈴。」 私は鈴に聞こえない声でそう言って、 見えない笑顔で笑った。 鈴からもらった花束をギュッと両腕で抱いて。 __ひとりじゃないからね、鈴。 ふたりはひとりぼっち。 【完】