失ったもの
「こいつ、家族いないってよ!www」 「えー?ウッソーーー。かわいそーー」 「あはははははははは。」 笑い声が教室中に広がる。私は、ただ机とにらめっこをするだけ。 このクラスには、家族がいない、橋本京夏 という女の子がいる。 京夏さんは、いつもクラスのいじめっ子からその事をバカにされている。 私には、どうすることもできない。京夏さんは、相談とかしないから…。 結局、京夏さんをかばったら、私がいじめられてしまうかもしれないから。 それから、月日が経って… 京夏さんへのいじめはどんどんエスカレートしていった。 言葉から、暴力となり、いつの間にか京夏さんの腕や顔に痣ができるようになった。 でも、京夏さんは相談はしなかった。 (なんで、相談しないの?頭おかしいのかな?) 私は、またいつものように机に顔を伏せた。 (私には、関係ない。関係ない。悪いのは、いじめっ子たちだ。) そう、自分にずっと、言い聞かせてた。 そうしたら、京夏さんはこの学校にもう二度と来ることはなかった。 ある日のこと。 「…えー。このクラスの、橋本京夏さんが……………亡くなりました」 先生の口からそんなことが告げられた。 (え!?嘘。嘘だ………) ふと、いじめっ子たちの方を見ると、いじめっ子たちの顔は青色になっていた。 「死んだ?なんで?」 「……そんな、辛かったならなんで相談しなかったんだよ」 「………そうだよ。」 いじめっ子たちは、先生が教室から出ていくと口々にそう言った。 …私がこれまでしてきたことは、京夏さんにとってどんな気持ちだったんだろうか…。 無視して、助けもせずにただ見るだけ、どれだけ地獄だったんだろうか。 どれだけ、京夏さんを傷つけたのだろうか。 ごめん。ごめん。ごめん。 死なないでよ。なんで、死んだの?なんで、相談しなかったの? なんで、私は、なんにもしなかったの? ごめんね。ごめんなさい。 私は、結局謝ることしかできなかった。 謝っても、時間を戻すことはできない。もう、死者が生き返ることはできない。 私は、一生、後悔を背負って生きる事になったのである。