あの子の笑顔の意味
いつも笑顔で、キラキラなあの子。 それに比べて僕は、笑えていない。 僕は楽(らく)。小学6年生だ。 最近、あの子が気になる。 「楽、おはよ!」 「おはよう…」 この子は咲(えみ)ちゃん。僕の隣の席の子。 咲ちゃんはいつでも笑顔を絶やさない。 そんな咲ちゃんに比べて、僕は全然笑えてない。 みんな笑っている内容が、くだらなく感じでしまう。 どうしても…笑いたくても、笑えないから。 だから、いつでも笑える咲ちゃんに憧れている。 「いい加減にしてください!このクラスは本当に…」 …今、絶賛クラス中説教中。もちろん、何もやってない人も含めて。 隣をふと見ると、咲ちゃんが震えていた。 顔は髪の毛で隠れて見えない。でも…きっと笑ってない。 (…咲、ちゃん…?) あの説教から、咲ちゃん…元気がない。 「…咲ちゃん、元気ないよね、どうしたの?」 声をかけても、返事が返ってこない。ただ聞こえてきたのは…泣いている声。 「咲ちゃん?大丈夫?」 「…楽…、…いや、何でも、ないから…っ」 「何でもなくない!どうしたの?」 「…私…笑えてないよね、今」 「え?うん…泣いてるよ」 「だよね…私…っ、笑ってないといけないのに」 「…?なんで」 「私の家ね…仲が悪いの。だから、私が笑って、みんなを元気にさせないといけないの」 (…意外…咲ちゃんち、家族仲悪いんだな…) 「私が笑えなかったら、家族が完全に崩壊しそうで…っ」 今きっと、咲ちゃんは追い込まれているんだ。さっきの説教が家の空気に似ていたんだ。 「…今は、笑わなくていいんだよ」 「何でよ…私が笑わないと…」 「何で自分のおかげで家族仲がいいみたいな言い方するの?」 「…っ、ご、ごめん、なさい…」 「謝るんじゃないよ。もっと自分を大事にしなよ。寂しい時は寂しいって、ちゃんと言って」 「…でも…私、私…」 「実際どうなの?寂しいの?その涙は、何の涙なの?」 「…本当は…すごく、苦しいよ。寂しい…っ」 「…よく言えたね、咲ちゃん。…今は、泣いていいから。ほら、遠慮しないで」 「っ…あり、がとう…私、ずっと…」 「うん、うん。今はいいんだよ。好きなだけ泣きな」