【私はあなたの所有物じゃない。】
「頑張って」とか「もっとできる」じゃなくて、 『頑張ったね』って、その一言がほしい。 それだけで、今の私は救われると思うから。 // 「何?この点数。」 「ごめんなさい..。」 私は冬翠(トウスイ) しう。 勉強が本当に苦手で、どれだけ勉強してもテストで50点を上回ることが絶対にない。 今年も..最高点数は国語の39点、最低点数は理科の.. 「3点..しう、ほんとに努力しなさいよ?そろそろ。」 「...ッ」 努力しなさい、そんな言葉が私の心に突き刺さる。 「私だってッ...」 言葉が詰まる。 自分の意見を伝えることもできない。 「しう?あなたは、ちゃんと医大に行って、医者になるの。」 「..はい、ごめんなさい、お母さん。」 本当は行きたくないのに、 なりたいものも..ちゃんとあるのに。 嫌だって、..言えなくて。 // 「しうッ!!いい加減にしなさいよッ!?」 「ッッはい、..ごめんなさい..ごめんなさい..!!」 あれ..頑張ったんだけど。 49点だよ..?成長したんだけどな..。 「こんな点数じゃ医者になれないわよ?」 「はい..。」 「あなたが医者になって、私たちを養わないといけないのに..。」 また、医者..医者。 私はッ..!!さぁ..、 「デザイナーに..ッ」 「何??」 言いたいけど、怖くて。 「..ううん、ごめんなさい、もっと頑張るから..。」 また隠す。 どうせ、言ってもわかってもらえないから。 // 「親に管理されてる人生って..なんも楽しくないなぁ..。」 もっと、遊んで、友達作って、甘い恋をして、..思い出もたくさんほしかった。 もう高校生なんだよ? もう戻れないんだよ? 一度きりなのに...。 「全部全部ッ!!親に言われるまんま..!!!」 窓の外に向かって叫びつける。 「デザイナーなんて、夢のまた夢だよ..。」 『それでいいの?しうちゃん。』 『私だったら、言い返すなあ、お前の人生じゃねぇよ!!って、』 頭の中に疎遠になった、たった一人の友達の声が浮かび上がる。 ..もう7年も会えてないっけ。 それにしても、 「来愛(ライア)らしいなぁ..私の声届いちゃった?」 冗談交じりでいってみる。 もう来愛の声が聞こえてくることはなかったけど。 「言い返すまで話しかけるなって?..ほんと来愛らしい、」 小さく笑って、私は深呼吸をした。 もう、絶対親に支配なんてされないって。 // 「しう!!何してたの!?ぼーっとしてる時間があるなら医大に入るための勉強を...」 「..ッ嫌!!!もう無理ッ!!!」 精一杯の声をあげて抵抗する。 お母さんは目を見開いて、びっくりしている。 「しう..ッ?しうよね?」 「もう嫌なの..、ほんとは医大とか行きたくないの..ッッ」 涙があふれてくるのなんて気にせず喋り続ける。 「そう..なの..」 「デザイナー、デザイナーになりたいのッ!!」 否定される覚悟はもう十分にある。 だって、親は私のことなんて.. 「..言ってくれて、ありがとう..しう。」 「....え?」 お母さんに抱きしめられる。 「ごめんね..」 お母さんは、子供の愛し方がよくわからなかったんだって。 お母さんが小さいころはこうやって、子供の道は親が決めてあげることが、 一番子育てで大事って..、言われていたらしい。 そんな話を聞くと、すこし悲しくなる。 「お母さんっ!私、お母さんの『子供』だよ..!!」 【私はあなたの所有物じゃない。】