心友との出逢い
「わたし、3組だった」 「私は1組」 「うち、6組」 「えー! あたし5組なんだけど」 わたし達はそれぞれ違うクラスだった。まさか、誰も同じじゃないだなんて。おしゃべりが好きなくせに人見知りのわたしが、ひとりでやっていけるだろうか。 「大丈夫。休み時間は会いに行くからさ」 「菜生はおしゃべり好きだし、可愛いし、すぐに友達できるよ」 「無理だよ。わたしどうすればいいの?」 人見知りでコミュ力ないし。あーあ、わたしはなんて運が悪いんだろう。 「菜生なら大丈夫だって!」 「そうかなぁ・・・・・・」 入学式から一ヶ月が経った今。案の定友達はできず、中学が同じだった子もいるわけだけれど、多少面識のある程度。だから、わたしはこうして窓の外を眺めている。時々風が吹いてきて、顔にカーテンが直撃するのだけれど。 「ねえ、早田さん」 「は、はいっ?」 「名前、何て読むの? なお、で合ってる?」 声を掛けてくれたのは、前の席の望月春陽だった。 「えっと、ななせ。なおってよく言われるんだけど」 「そうなんだ! 私の友達にね、菜央っていう子がいるからさ、そうかなと」 「友達、多いんだね。わたし人見知りで全然いなくて」 そっかー、と相槌を打ってくれる。聞き上手で話し上手だし、コミュ力も高そうだけれど人見知りと本人は言っている。 「でも、どうしてわたしなんか」 「自己紹介のときに『アニメが大好き』って言ってたから。私もアニメ大っ好きなの」 「え、ほんとに?」 望月さん、自己紹介でなんて言ってたっけ。確か、あの時は緊張でそれどころじゃなかったんだ。 「なんの話ー?」 「春陽、また友達できたの!?」 「まあね。菜生ちゃんっていうの」 続いてやってきたクラスメイト。川野美弥と、岩田日南だ。 「『また』?」 『また』という言葉が引っかかった。人見知りと聞いたのに。 「実は、春陽はコミュ力やばいぐらい高くて、中学ではクラスの女子全員と友達」 「でも、ちょっとだけ人見知りっていうのはあるけどね。だから、嘘ではないよ」 「え、えぇーっ!?」 そんなわけでまんまと騙されたわたしと3人は、なぜか心友になったのである。 「私は、はるひ。日南は幼なじみなんだ」 髪型はハーフアップで、色白でかわいい彼女。望月さんは、天使みたいだ。もう微笑みが天使で、声もそんな感じ。あと、リーダーにも向いてそう。 「あたし、みや。二人とは塾で初めてしゃべったんだ」 どうも、出身の中学校が違うらしい。川野さんは、おだんごがトレードマークでいつも明るい子。 「で、うちはひなみ。美弥は中学違うけど、塾が一緒なんだー」 岩田さんは、喜怒哀楽が激しくて、言いたいことはズバズバ言うタイプ。好き嫌いとかはっきりしてそうだなぁ。正直言うと、わたしとは合わないかもしれない。 「えっと・・・・・・早田、菜生です。アニメと、おしゃべりが好きです。ヨロシクネ」 「もー堅い堅い! そんな緊張しなくっていいのに!」 確かに、自分でも最後は片言になっていたのが分かる。多分カチコチに固まっていただろう。 「日南、菜生ちゃん緊張しいなんだからさ、分かってあげてよ」 「うちは緊張しないタイプだから分からないんだよねー」 羨ましいな、なんて思ってしまう。私が岩田さんや望月さんや川野さんみたいな人だったらいいのに。 「まあまあ、それは置いといて。菜生、でいい?」 「う、うん」 「どっち? 『ううん』か、『うん』か」 やっぱり岩田さんに突っ込まれてしまう。わたしとは真反対の性格だ。 「後者、です」 「敬語抜いていいよ」 「それから、私たちのことは何て呼んでも菜生ちゃんの自由だからね」 「うちは『日南』って呼んでほしい!」 「菜生ちゃんに決めてあげなよ」 「それは分かってる! そのうえで言ってるだけじゃん!」 「まあまあまあ・・・・・・」 この子達となら、きっとこの一年間もやっていけそうだと何となく感じた。 「な、な、せ!」 「日南、春陽、美弥・・・・・・」 去年のことを思い出してぼーっとしていたみたいだ。 「で、須賀くんとはどうなの?」 「な、何も!」 「なわけないでしょ?」 彼はわたしの好きな人。なぜか、3人に速攻でバレたけど。 「今年も同じクラスなれたらいいなー、とか思ってないの?」 右を見ても左を見ても顔、顔、顔。3人に質問攻めにされているところだ。 「どっちにしろ、菜生なら大丈夫だよ」 日菜の笑顔を見て、この子達と心友になれてよかったと思った。 《end》 心友をテーマにしました。友達含め、かけがえのない存在ですよね。回答お願いします!