ボタン
いつか作ったかさぶたが光を失い剥がれ落ちるみたいに、実らなかった初恋をまぶたの裏に思い出すみたいに、遠い空をぼやりと眺めるみたいに。 日々は忙しなく回り、今日もきっとおもいでの一部にかたどられていく。 レールの上覗く車窓で、嵐が身を打つこともあるし、一輪のボタンと目が合うこともある。そのひとつひとつを大切に抱きしめて列車は駅を進め、まだ見ぬ終点へ向かう。 あいにく僕は後ろに目がついていないから、過去を拾い集めることはできない。でも、だからこそ僕は前を向いて生きる。 素敵な日も暗い日もおかしな日も、 全てあなた自身の物語なのです。 風に吹かれ飛ばされそうになったら、あの日 陽に照らされ輝いたあの花を思い出して欲しい。