津波
※このお話には、津波シーンなどが含まれています。読める人だけお読みください。 これは、私が小学4年生の頃の出来事です。 その日には、私たちは勉強をしていました。3時間目の社会でした。 急に大雨が降り出しました。でも、大雨くらいで気にしませんでした。体育のクラスの人は、気にしたと思いましたが。 突然、雷が鳴り始めました。それを合図にしたように、一気にゴゴゴゴ…という音がしました。 「きゃああっ!」 窓際の近くにいた女子が悲鳴をあげました。 校庭は海になりました。 近くにある川の水が増して、堤防を乗り越えたのです。 私たちの学校まで来ました。一年生は、慌てて私たちの教室に逃げ込みました。 窓から遠くにある家が見えました。壊れていました。 津波が一気に家を飲み込んでいきました。それはもう、絶望的瞬間でした。 津波がなくなり、先生方が一年生の教室を見てみました。酷い有様でした。教室はドロドロで、一年生が頑張ってかいた自由な絵が、ぐちゃぐちゃになっていました。 そして、2年。私は小学6年生になっていました。 家でのほほんと過ごしていました。いつもの日常でした。 あの時のように、急に大雨が降り出しました。雷も鳴りました。 (今度は、大丈夫だろうか。まさか、うちを飲み込むなんてこと、ないよね?) また、ゴゴゴゴ……という音が聞こえました。 「ぁ……ぁぁ……」 次々と家が飲み込まれてゆく光景は、あの時の風景と重なっていました。 「嘘……」 家が飲み込まれました。 何もかも無くなりました。私たちは防災セットなんて、リュックなんて必要だと思っていなかったのです。 ただ1人、私だけが生き残りました。 津波は、建物も人も飲み込んでいく。そんな恐ろしさを感じました。 (これ以上、子孫にそのような思いをさせたくない) そして、現在。24歳になりました。 私は防災訓練教室ボランティアの一員になりました。 防災訓練教室ボランティアの人たちは、皆私と同じような経験をしていました。 仲間と出会いました。 私たちは今日も、防災訓練教室を開きます。これ以上、そのような思いをさせたくないから。