『弟』だった貴方との物語
「姉さん、あのさ、そ、その・・・っ俺、いや、本当に良く無い事だって分かってるよ?だけど、す・・・きでっ、うっ・・・いや、こくっはくする時泣くとかさ、どうかしてるよね・・・困らせたならごめんっ・・・」そう言って私に告白してきたのは、まさかのーー実の弟だった。「ありがとう。けれど・・・大人になったらね?そのうち心も変わると思うわ。」彼は整った利発そうな、けれどどこか儚げな顔立ちをした美少年だ。しかし、幾ら彼が私好みの顔をしていようと彼はあくまでも『弟』であり付き合う事は非現実的だ。第一、未だ私、西園寺ミヤ江も未だ成人していない現役高2で16歳である上に、告白してきた張本人である一慶(かずのり)なんて中一の12歳なのだ。恐らく彼が『好き』と云う感情を理解していないだけだろう。 時は流れ、一慶が告白当時の私と同い年となった。今、私には好きな相手が居る。「その・・・私、実は貴方に惹かれてしまったみたいなの・・・お付き合い願います!!」私は羞恥心に苛まれながら、人生初の告白をした。泣きそうだった。あの時の彼みたいに。相手はーー弥勒院一慶。元実弟。彼はかつて私に好意を寄せていた人。そして、血の繋がりの一切無い西園寺家に売られた、大富豪の隠し子であったのだ。「ーー嫌です。」彼はそう口にした。嗚呼、期待なんてしなければ良かった。「そう・・・でしたか・・・分かりました。お時間を割いてくださり有難う御座い・・・」「違います!!いやその・・・俺から告白し直したかったんです!!」「・・・っ・・・そうですか・・・え!?」「漸く俺の想いが通じたんですね。」「・・・有難う。本当に。」しかし、私の言葉を聞いた彼は美しい顔を悪戯そうに綻ばせて言ったのだ。「勿論、大人になってから、ですよ?約束はしっかり果たさないと。それに法にも背くことになるし。」今更気がついた。確かに大人が未成年者に告白してそのままお付き合い、それから結婚・・・なんてかなり不味い。 それからまた時が経ち、4年後、私達は結婚する事になった。「愛してる、ミヤ江。」「私もよ?有難う、一慶。」