「はじめまして、あなたをずっと愛してました」
白い頬を伝う汗が、頬を流れて地面へと落ちていった。 落ちた雫は土に落ち、他の土よりも濃い色を付けて、また元に戻る。 その様子を見ながら、私は首を動かして空を見上げた。 もくもくと膨れ上がる入道雲が鮮明なスカイブルーの空に浮かび、遠くでは鼓膜が破けそうなほどうるさくセミが鳴き続けている。私のひまわり模様のフレアスカートを揺らす風は乾いて暑い。白いシフォンシャツを着た肌は汗ばんで透け感がある布がじんわりと密着していた。 飛ばされそうになる麦わら帽子を日光で焼かれてひりひりと痛い手で抑え、私はひまわり畑の中を歩き回っていた。 あの人を探すために。 あの日道を分かれた彼に、会える。 ずっとずっと、愛を伝えてこず後悔したあの日から愛してた彼に、ようやく会える。 走る。幸せがあふれるようなひまわりの甘い香りをふんだんに感じながら、走る。 不安で感じる動悸とはまた違った、緊張に楽しみな気持ちが合わさったドキドキが、強く胸を脈打たせた。 茶色いロングヘアーが揺れ、風になびく。 泣きたくなるほど求めるものが、そこにある。 ひまわり畑の中に、黒い短い髪の毛を揺らした青年が立っていた。 「ひさしぶり」 青年は、夕(ゆう)くんは、そう言ってにっこりと笑った。 私の目から、感情の一部が音もなく盛り上がって流れ落ちた。頬を雫が濡らし、止められない。 胸が熱くなって、暖かくて。 でも、私も深呼吸して口角を引き上げてにっこりと微笑んだ。 「ひさしぶり」 二人で少しずつ歩み寄って、静かに抱きしめる。 いつか胸のあたりに感じていた温もりが、また感じられる。 ひさしぶり、と言ったけれど。 「愛してる」という気持ちで会うのは初めてだ。 だから顔を上げてこう言ってみよう。 「はじめまして、あなたをずっと愛してました」 あなたをずっと愛していたことを、 胸を張って、伝えてみよう。 ◇◇◇ こんにちは、作者です。 普段書いているのは現代ドラマやミステリー、家族ものなんですが、今回は純愛を書いてみました。 このサイトを見ていたらこういう文体の作品が結構少なかったので、文芸体で書き下ろしました。 面白かったら感想ください。