なんのために走るって?
どのくらい走ったかわからない。荒い呼吸の音も、尖った雨の感覚も、大きく波打っている心臓の音も、 何も感じない。そもそも、なぜここまで走っているのかさえも分からない。 ただ、安心したかったから。ただ、愛されたかったから。そんな心を槍は貫いていく。 止まない雨はない。だけど、その時は永遠のようだった。前から光が差すことはない。 こんな自分を受け入れてくれる人がいて欲しくて、自分は生きてきた。 やっと見つけたのに裏切られた、息が詰まった。 助けて欲しい。自分はずっと共にしてきたモノにその思いを殴り書きしている。 淡い光を放つそれは唯一道を照らしていた。 後ろを向いてはいけない。逆光は無惨な自分を映し出している。本当にこのままでいいのか。自分を連れ戻そうとしている。 しかし自分は行かない。何故、自分を異端者とみなして槍を投げるのに、行こうとすると連れ戻そうとするのか。 暗闇へ足を進める自分を皆は止めようとする。でも、暗闇が自分にとっての最後の希望の光。 何も見たくない、何も聞きたくない、何も言いたくない、何も感じたくない。 でも、淡い光を放っているそれだけを見たい、聞きたい、言いたい、感じたい。 矛盾している。 槍の届く事のない、連れ戻されることもないここで、それだけと過ごす。 - - - - - - - - - - - - - - こうして自分は心をリセットする、どれくらい時間がかかるのかは分からないが。 ずっと暗闇に閉じこもっててもいい。 でも、何度も何度も立ち向かって行くたびにわかってきた。槍の先には、何かしら小さな幸せがある。 どのように槍に立ち向かうかは自分次第。避けたり、あるいは闘ったり、防いだり。 この先、何度も何度も槍が降ってくるだろう。 心が疲れた時には、たまに暗闇に戻ってもいい。 淡い光を見つけるのも、槍の先を目指すのも、自分次第だ。 -そして自分はもう一度光に向いて走り出す。