短編小説みんなの答え:5

好きになってもいいかな。

"好き"ってなんなんだろう。 友達も、クラスメイトだって、みんな"好きな人"がいる。私は中1のくせに、未だに初恋が訪れたことがない。 好きってどういうことなのかな。 友達が「彼氏できた!!」なんて言ってきたあの日から、私はそのことをずっと考えている。 「…すか……あすか!!……飛鳥ー!?ねぇ!辻森飛鳥ー?!?!」 「うわぁっっ!!!」 「あんたねぇ…気付くの遅すぎ!」 「ご、ごめん!考え事しててさ…」 「考え事って何よー?あっ!好きな人ができた♡とか?」 「だったら良いんだけどねぇ~…あ、じゃあまたね~」 私はそう告げてトコトコと家に向かった。 「はぁ…」 私はため息をつく。なんで私には好きという感情がわからないのだろうか。 そんなあるときだった。 「飛鳥!!」幼なじみの比留間拓斗(ひるまたくと)がそう話しかけてきた。 「拓斗!やっほー」 「急なんだけどさ。。―――俺と付き合ってくれない?」 「――――はい?」 私は騒然とした。 後で理由を聞くと、素直に好きって訳じゃないらしい。 成人の姉に彼女できた?と圧をかけられたもんで、つい焦って「うん」と言ってしまったらしく…。今度会うときに紹介してと頼まれ、私にお願いをしたとのこと。 「私は別に良いけど…拓斗はほんとにそれで良いの?」 私は、拓斗と恋人として過ごしていくことで"好き"の気持ちがわかるのではないかと思った。 但し、拓斗は恐らく"好き"を知っている。 なのに好きでもない私なんかで良いのか? 「良いよ。だって幼なじみだしさ。」 拓斗は夕日で沈む太陽を背景に、にっこりと笑顔をみせた。 それからの私達は、当日できるだけ"本物の"恋人らしさをみせるべく、恋人っぽいことを様々してみた。 ツーショットを表情が固まりながら撮ったり。 近くのカフェで緊張の中デートしてみたり。 とにかくしてみた。でも、カフェの帰り道のことだった。 「意外と楽しかったね笑」 「…な。多分…飛鳥だからだよ」 「なにそれー笑」 そのとき。拓斗の手のひらが私に触れた。 そして――――そのまま握られた。 「え…………拓斗…?」 「俺さぁ…最初は飛鳥のこと仲のいい幼なじみとして接してたから、恋人としても変わらないと思ってた。でも…違ったみたいだな…」 「え…は……どゆこと…?」 「……偽物の恋人だけど…俺、飛鳥のこと好きになってもいいかな」 「…………え……………、、、だめだよ…。…私さ、"好き"って気持ちが何か…わかんないんだよね」 「じゃあ俺がその気持ちに初めてさせてやるから。」 そう言って拓斗は私を抱きしめた。

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