短編小説みんなの答え:1

幼馴染の絆

- 咲乃 - 「莉羽ちゃん、転校するらしいよ」 そんな話を聞いたのは、中学1年生の3月だった。 莉羽(りはね)とは、私と保育園の時から唯一仲良しの親友だった。 保育園の時は毎日一緒に遊んで、お互いの家に行ったりしていた。 だけど、小学校高学年くらいになると、莉羽と私の立ち位置は変わっていった。 莉羽はクラスのリーダー的な存在で、明るくて、みんなに愛されているような女子になった。 それに比べて私は、勉強ができることしか取り柄がない、地味な女子になった。 周りから見れば、私と莉羽なんて釣り合わないと思われているはず。 私と莉羽は高学年になってから、必要最低限なこと以外ほとんど喋らなくなった。 だけど、そんな莉羽が転校すると聞いたときはびっくりした。 …………………………………………… -莉羽- 親の仕事の都合で、転校することになった。 小学校から一緒の友達も、中学校で友達になった子達とも、離れないといけない。 それも悲しかったけど、保育園から一緒の咲乃とも離れてしまうのは、実感がなかった。 咲乃(さきの)とは保育園から一緒で、近くにいて当たり前の存在だった。 でも、小学校高学年になってから、私は友達多い陽キャ的な存在だったけど、咲乃は元々控えめな性格だったからあまり目立っていなかった。 だから最近は必要最低限なこと以外全く喋っていなかった。 でも咲乃は勉強ができる優等生だから、先生からも信頼されていたし、友達も「咲乃ちゃんって勉強できてすごいよね」と言われるくらいだった。 咲乃と離れるのは正直嫌だった。 ……………………………………………… - 咲乃 - 「莉羽」 放課後、久しぶりに莉羽に話しかけた。 「あ、咲乃。どした?」 いつもの莉羽の話し方。 「あのさ、莉羽が転校するって本当?」 「うん」 どこか悲しそうな莉羽の目。 こんな莉羽は珍しいな。 「咲乃と離れるのは、嫌だけど、しょうがない事だから…」 私と離れるのが嫌? 莉羽はそんなこと思っていたのだろうか。 「…」 沈黙が流れた。 「いつ引っ越すの?」 「修了式終わったら」 「じゃあ、私行く」 「え?」 莉羽がびっくりした目でこっちを見た。 「だから、莉羽に会いにいく」 「あ…ありがと」 - 莉羽 - 引越し当日。 咲乃が私の家まで来てくれた。 もう出発の時間になる。 「咲乃、保育園の時からほんとにありがとね。 咲乃はそばにいて当たり前の存在だったから離れるのはほんとに悲しいし実感湧かないけど、 またいつか会おうね」 「うん、莉羽もありがとね。小学校高学年からあんまり話さなくなっちゃったけど、莉羽いつもみんなのこと引っ張っててすごいなって思ってた。また会おうね」 ぎゅっ 2人で抱きしめあって、私は車に乗った。 「じゃあね!」 咲乃はずっと手を振ってくれていた。 また、会おうね! - END -

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