流れ星の彼女
「ねぇねぇ、美咲(みさき)ってもしかして流星(りゅうせい)のこと好きなの?」 「へ?」 思わず声が裏返ってしまった。どうして知っているの?えっ、なんで?? そんなことを考えていたら、羽衣音(はいね)は私の心を見透かしたように。 「だって、授業中とかも流星のことずっと見てるじゃん。羽衣音恋愛国際連盟は何でも知ってるんだよー」 「そ、そんなわけないじゃん~気のせいだよ、気のせい!」 私が、全力で否定した。 「いや、絶対にそんなことない!」 羽衣音は自分の意見を変えないらしい 「で、でも~流星って性格イマイチじゃない?ほ、ほらね?なんか、あいつ優しくなんかないよ!それに、あいつのこと好きになっちゃいけなくない?というよりも、あいつが3大王子とかありえないよ~」早口になりながらも必死で答えていると ポコッ 「イテ」 もう~、私の頭をたたいたのは誰? 「「あ」」 私と羽衣音の声が思わず重なった。 「「流星!?」」 そこには、教科書を丸めて立っている流星の姿があった 「流星!?じゃねぇんだよ。美咲!どれだけ俺の悪口を言ったら気が済むんだ!あと、俺って3大王子じゃいけないのかよ?な~、3大王女様」 むっかー!! 「じゃあ何?私は3大王女じゃいけないんですかー?お前だって3大王子の中じゃ一番ブスのくせにー!」 私たちの3年Ⅾ組には3大王子と3大王女というものが存在する。 3大王子は、流星、遥真(はるま)、真露(まろ)。 3大王女は、美咲、羽衣音、瑠華(るか)。 瑠華さんは、今年やってきた転校生。私たち3大王子、王女はクラスのみんなが投票で決めた上位3人のこと。瑠華さんはものすごくカワイイの。そんな私たちのクラスでは3大王子、王女に恋をしちゃいけないという謎のルールがある。意味不明。 「ふ、二人とも落ち着いて~」 「あ、真露くん」 真露くんはしっかりしているイケメン。優しくて、女子たちはもうメロメロ。そのやさしさと、爽やかな笑顔を見てしまうと一生とりこになってしまう。 「クラス会議の司会とか、バンショウ係とか、書記とかきめよ?ね?」 「「「うん」」」 今日の議題は、学芸会の役について。演じるのは白雪姫、シンデレラ、アラジンの3つ。 なぜ、3つなのかというと私たち3大王子、王女が全員主役になれるようにするため。 キーンコーンカーンコーン 「さ、はじめるぞ」 遥真くんが声をかけると、騒がしかった教室が一気に静かになった。 王子パワーすごい。 「では、学芸会で演じる白雪姫の役を決めまーす」 「「「はーい!」」」」 クラス全員が声をそろえて答える。 「えっと、まずは主役の白雪姫演じたい人いますか」 シーン 「じゃあ、推薦で…」 ぞろぞろと手が挙がる。わたしは、黒板にバンショウを取りながら小さく笑っていた。きっと王子役は流星。そして、推薦なら私が選ばれる。完璧。 「じゃあ、荻野さん」 「わたし、白雪姫は瑠華ちゃんがいいと思います。顔、抜群にいいし」 「「「賛成!」」」 「じゃあ、白雪姫役は瑠華」 スルスルと役が決まっていく。その中で私は一人立ち尽くしていた。え?なんで?なんで、私じゃないの? 「瑠華が白雪姫なら、俺が王子やってもいい?」 え、流星今なんて? 「やった~!流星君が王子だ~!」 なんで瑠華さんは喜んでいるの?流星も自ら名乗り出るなんてこと初めて… 結局、私はシンデレラ役。王子は真露くんになった。 気が重い。気分が乗らない。それだけなら、まだよかった。 全部の役が決まった。あとはチャイムが鳴るのを待つだけ…なんて考えてたけど… 「最後にお知らせがあります」 流星からのお知らせ?なんだろ。 「瑠華ちょっと来て」 流星が瑠華さんを呼びだすと。瑠華さんは恥ずかしそうに前に出てきた。何事かとクラスがざわつき始めると。瑠華さんは、そっと流星の腕に自分の腕を絡めた。教室の中から悲鳴のような声があちこちから聞こえてきた。流星の話によると瑠華さんと流星は付き合い始めてから3か月。瑠華さんが転校してきてからずっと付き合っていたらしい。お互い一目ぼれ。 バカ…、バカ…。流星の大バカ。ダメ、こんなところで、みんなの前で泣いちゃダメ… 「俺たち、付き合ってました。」 ん?過去形?隣を見ると瑠華さんも目をギョッと見はっている。 「今日まで」 え? 「今、この場で瑠華を振ります。」 は? 「そして、今、この場で美咲に告白します。」 ど、どーゆーこと? 流星が私のほうに向きなおる。 「美咲、俺と付き合ってください」 うそ、嬉しすぎて涙でそう…でも、これは泣いてもいいのかな? そんなこと考えてたら涙がボロボロ出てきた。 「も、もちろん!よろしく、お願しましゅ…」 最後は泣きすぎて言葉にならなかったけど、流星には伝わったみたい。 私を思いっきり抱きしめてくれた。