生死屋
死にたい・・・。 そう思って、フラフラと部屋に戻ったところだった。 バカとかって、そういう いじめられた私の手には、 ナイフが握りしめてあった。 もう、生きている価値がない。 生きられない。 死ぬ道しかない。 首に垂直にナイフをもっていったとき、 机のあたりが光った。 何も考えずにその光のもとへ行くと、机の上に置いてある 遺書が光っていた。 反射的に手を伸ばす。 私は吸い込まれた。 「ここは?」 見たことがない家の中にいた。 その中には、もう2人の男子と女子がいた。 2人とも、ぐったりした顔をしている。 すると、笑顔を見せる少女が歩いてきた。 「いらっしゃいませ!ここは、死にたいと思う人だけが来れるお店でーす!」 明るくてフワフワした声音のその子が、 楽しそうに言った。 「ここは生死屋です!生死、つまり生きるか死ぬかを考えるお店なので、生死屋でーす」 私は唖然とした。 私、妄想ができるようになったのか? 「私に名前はないけど、生死って呼んでくださーい!」 私の顔を見て、にっこりする。 「あなたは有香さん」と話しかけられて驚く。 そして、もう一人の女の子に向って「あなたは、千紘さん」と言う。 男の子には、「あなたには名前がないんだよね?」と言う。 「あなたたちは、ここに来る前に自殺しようとしたんだよね?自殺しようとした子だけが集まるんだよ」 生死、と言う子が説明する。 「有香さんは、学校であった酷いいじめが理由。千紘さんは、友達や家族からの陰口が理由よね? で、そこの男の子は、両親からの暴力が原因」 すらすらとあててくる。 「君たちが自殺しようが自殺しなかろうが私には関係ないんだけどね」 生死はにっこりする。 「今日からあなたたちは、自由にここに来られるようになる。そこで悩みを打ち明けて、自殺を防ごうっていう店」 私はここに通い始めた。 すると、悩みがどんどん減っていった。 似た環境の2人のおかげで。 そして、生死という子のおかげで。 自殺しようと思って握りしめていたナイフは、 もう、二度と握らない。 悩みは誰かに言おう。 味方は必ずいる。 友達でも家族でも先生でも、誰でもいい。 誰でもいいから、自分を守ろう。 死に逃げこむのではなく。