桜が、綺麗ですね。
桜木美和が死んだ。 桜の様に美しく、儚く、笑顔が素敵な女の子だった。 そして、俺が世界で一番愛して居た人。 一か月前、高校の卒業式があった。 美和は、高校を卒業したら上京するんだと笑いながら話していた。 美和と離れるのは寂しかったけれど、でも。 美和の夢を止めるつもりは一切なかった。 美和が東京に向かう一日前、俺達は桜公園に何となく集まった。 昼とは違い、儚く、風に揺られ、散る桜。 少し肌寒い空気が、心地よかった。 『 桜樹くん、月が綺麗ですね 』 『 俺にとって、月はずっと綺麗でしたよ。 』 美和は幸せそうに微笑んだ。 俺も、幸せだった。 『 桜が、綺麗ですね。 』 『 貴方と見ているから綺麗なんです。 』 桜は、よく見えなかった。 でも、俺達の心は通じ合っていた。 美和が上京した。 美和が上京してから、一週間。 桜木美和が死んだという知らせが来た。 お通夜が終わり、葬式が終わった。 美和が死んだ事を、まだ理解出来ていなかった。 俺が東京に行くのに反対していたら、美和の命は助かっていたのかもしれない。 そう思うと、過呼吸になり、嘔吐する。 そして、美和が死んで一年が過ぎた。 今日は美和の命日。 美和の墓に向かい、花を挿す。 「美和、来たよ」 風が吹いた。 美和が微笑んでいるようだった。 俺はそのまま帰る気になれず、桜公園に向かった。 世界の青空をここに全て集めた様な、そんな晴天だった。 『 美和。空が綺麗ですね。そして__寒いですね 』 寒くなんて無かった。 暖かかった。 でも、涙が溢れて止まらなかった。 『 雨が……止みませんね 』 雨なんて降っていなかった。 でも、俺の心は誠実だった。 『 明日は、晴れますか。美和。 』 少し強い風が吹いた。 桜が舞った。 『 明日は晴れて、空が綺麗ですよ。 』 どこからか、美和の声が聞こえた様な気がした。 俺は、涙を流しながら、微笑んだ。 ________ 『』の中の文章の意味を、ぜひ調べてみてください! 読んでくださりありがとうございました。