たとえいなくなったとしても。【恋愛✕感動】
ー僕は彼女を世界一愛してる。なんて言ったらみんなには引かれるだろう。 でも、それでも愛せる自信がある。たとえーいなくなったとしても。 「唯斗くーん!!おっはよー!」僕の名前ー小豆沢唯斗(あずさわゆいと)を呼ぶ彼女の名前は瀬戸麗華(せとれいか)。「あ、瀬戸おはよ」僕はそう返す。 「もー…唯斗くんは冷たいなあ」 「そうか?」「そーだよ!名字呼びだしさぁ」 「じゃあ麗華って呼ぼうか?」「うわぁーなんかそう言われるとこそばゆい…」「なんだよw」 平凡は会話だけど、それが嬉しい。 ー地獄が始まるのはこの日だった。 いつものように学校が終わって、瀬戸と帰る。 「唯斗くん!お疲れ様!!」「瀬戸も、お疲れ」 「ありがとっ!!」そのキラキラした笑顔に、僕はまた惹かれる。「じゃ、行こ」「うんっ!」そうして僕たちは帰り道を歩いた。 ーしかし。大通りの信号に出たときだった。 1人の女の子が大事そうに抱えていたボールが転がり、横断歩道に飛び込んでしまった。赤信号だというのに。運が悪いことにかなりのスピードを出しながらこっちに向かう車が見えてくる。「キャァァァァァッ!!!!彩乃っ!!!!!!!」 お母さんらしき人の悲鳴が聞こえた。 僕は、助けに行こう。そう思ったが、体が動かなかった。瀬戸の方を振り返る瀬戸の姿はなくなっていた。瀬戸はー女の子を庇いに咄嗟に道路へ飛び込んだ。そのときには、車が瀬戸と女の子に向かって衝突してきた。沢山の悲鳴が聞こえる中、僕は道路に向かって走っていった。瀬戸は女の子を強く抱きしめたまま頭から沢山の出血をしていた。 「おい!!瀬戸!!!!」 「唯斗くん…ごめんね。多分無理だ…今まで、ありがとう…大好き。」「っ……僕も…大好きだし……」「よかった…最期に…私のこと、忘れないでね…」そう言って瀬戸は目を閉じた。 「……瀬戸……忘れるわけないだろ…」 瀬戸に抱き締められた女の子は、何が起こったかわからないような表情でこっちを見ていた。 「大丈夫。もう安全」「うんっ…ありがとう」 女の子は無事軽傷で済んだ。しかし… ー瀬戸は天国へ逝ってしまった。 ーーーーーー数年後ーーーーーーーー 僕の名前は小豆沢唯斗。高校3年生。 僕には彼女がいる。彼女の名前は瀬戸麗華。 彼女ー瀬戸のことを、世界で1番愛してる。 しかし…あれは数年前の出来事だった。