短編小説みんなの答え:1

天界から出ていった二人は

私はこの世界がだいっきらいだった。誰もが常にニコニコと笑い、誰もがみんなに手を差し伸べる。 素敵な世界だと思った人もいるんだろう。でも、ずっとこんな世界にいると、みんなの微笑みは鬱陶しいし、みんなに手を差し伸べるのだって偽善者のようにしか見えない。だけど…逆らう訳にはいかない。逆らうと、きっと私は真っ黒になってしまう。 だから、今日もニコニコと笑う。そして、誰も居ない場所でため息をつく。 「…はあ。疲れた…逃げたい」 「じゃあ、逃げようよ」 「は?」 っ!最悪。見られた…。けど、逃げようよって…? 「どういうこと?」 私が問うと、真っ白な少年はニッコリと笑った。少しぎこちない笑みだった。 「そのままだよ。この世界から、逃げるってこと」 「…そんなこと、できるわけないじゃないの」 「できるよ。…特に持っていきたいものはないでしょう?じゃあ行くよ!」 少年に手を引っ張られる。 大きな門の前で、私と少年は立ち止まった。 少年は無造作にドアをノックする。 「なんだ?」 門の向こうから、威圧的な声が聞こえた。 「こっから出ていきたいんだけど?」 少年の挑発的な態度にハラハラとして私は体を小さくした。 「…ならば出ていくが良い!」 うっわ、誰だか知らないけどめちゃくちゃ起こってるよ… 「う、わ!?」 ぽん、と地面が割れて、私と少年は落ちていった。 「ここは…?すっごくきれいだけど」 「…なんとか、あの世界から出られたみたいだね。…そういえば、名前、聞いてなかったよね。聞いてもいい?」 「…私はイブ。そっちは?」 「俺はアダム。よろしく」 「っと、それで…」 神様は紙とにらめっこしながら、天界を出ていった二人のストーリーを考えていた。 何万年後、この話が少し変更されて世に出回るということは、誰も知らない。

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