あなたが好きと言うのなら。
「生きてよ…。私、あなたのことが、 世界の誰よりも好き。」 そう言って、彼女は 足まで海に浸かった私の手を、 ぎゅっと握りしめた。 私は、女の子のことが好きだ。 昔男の人が叫んで暴れているのを 見た日から。 怖がる私を助けてくれた 女の子。 その子は今、私の手を握っている子だ。 私は女の子しか好きになれない自分を 責めたし、元々自分のことが 大嫌いだった。 毎日息をするのも辛かった。 だから今、海で自殺しようと していたというのに。 今更、「好き」だなんて。 私はずっと欲しかった言葉に、 涙がこぼれ落ちた。 海の中に沈んでゆく涙を、 彼女が拭う。 私、幸せになっていいのかな。 まだ自分のことも、世界のことも 好きにはなれない。 だけど私は、この子が好き。 どんなに辛くても、苦しくても。 この子がいるだけで、私は生きていける。 「私も、あなたが好き。」 今まで言えなかったこの言葉。 それが私の、生きていくという約束だから。 あなたが好きと、言うのなら。 私はどんな世界も生きてみせる。