君と見た花火は忘れない。
僕は、石井莉杏(いしい れいあ)。小学校5年生。 僕は、人から言われたことをすぐに忘れることがある、 簡単に言えば認知症みたいな感じ… そのせいで、色んな子から虐められた。 「莉杏ー!これ上げる!」 視力が低いけどメガネをすぐ無くす僕はボヤァとした目をこすりながら、”それ”を受け取った。 手の上を”それ”がカサカサ動く。 僕は気持ち悪くなって手放した。 「せっかく上げたのに…何すんのよッ!酷いよ…」 そのような声が聞こえた。 その後、唯一の友達、真央(まお)に聞くと、 「ゴキブリだよ、手から落ちてくれてよかった、」 と笑ってくれた。 真央と出会ったのは小学3年生の頃、 その頃から虐められた僕をとっさに庇ってくれた優しい女の子としか覚えてない。 でも、僕を庇っても真央に支障は出なかった。 なぜなら、真央は成績優秀、スポーツの大会で2度優勝、 家はトロフィーだらけの一人っ子。 僕とは釣り合わない、 それは僕も重々承知のことだった… 僕は真央に呼ばれて屋上に来た。 なぜ、そんなところに呼んだのかは分からない。 僕は 『真央も敵になるかもだから、要注意だ…』 と考えながら階段を登っていった。 屋上にいたのは、真央。 言ってなかったけど今は夜の10時。 親の権力でこの時間帯に学校を開けてもらったらしい。 僕を見た瞬間、気まずい沈黙が二人の間で流れる… 先に口を開いたのは真央だった。 「上を見て。」 その一言。 その瞬間、 ヒュ-ドカァン 学校の真上に花火が咲いた。 夜空に、きれいな火の花が咲いた。 「好きだよ、私と付き合って、」 真央が口を開く、 僕の答えは一つだけだった。 「もちろん、僕は障害があるけど、君を幸せにすることだけは忘れない。 一生の約束、僕と付き合おう。」 僕の目からは大粒の涙が落ちていた。 もちろん、真央の目からもだった。 この時、一瞬だけ… メガネを掛けなくてもハッキリと真央の顔が見れた気がする。 それは、今まで見たことない可愛い女の子の表情だった。