世界へ
濡れた髪は、なかなか乾かない ハンドタオルも同じ 画用紙なんかもそう ティッシュペーパーに至っては、もはや再生不能 今日も、嘘をまとって生きていく 笑顔という名の仮面をかぶり、愛想という名のローブを羽織る 仮面もローブも重量オーバア これは必要? ぬぎすてたいよ 仮面をとったら疎まれる ローブを脱いだら避けられる だから僕は日々を嘯く 髪もタオルも画用紙も、すぐに乾くわけではない もう戻れないものもある 染め濡らすことは簡単だ けど、それが乾くのにいったい何日かかると思う? その前に、乾くと思う? 水を弾くものもあるよね ビニールなんかがその例だ 強い、勝ち組、なにもかも完璧 正直羨望するさ これから皮肉を言うね プラスチックなんてものがなければ、砂浜がごみで汚れることはなかった マイクロプラスチックなんて言葉もできなかった でも人は、プラスチックを必要とする そりゃそうさ。便利だもの 必要とする人がいる限り、それは必要とされ続ける 何にも染まらず、水を受け入れず、人の役に立ち続ける 彼等はきっと知らない 自分が人やものを傷つけていること 彼等は思い込んでいる 自分達は最高、ヒーローだと それが必要とされるなら、僕は仮面をかぶってローブを着るよ 濡れた髪を乾かすには時間がかかるよね 僕も同じさ、人間なんて 呆れるほどに弱くて、泣きたくなるほど脆いんだ それを理解したうえで 僕に嘘を求めてください 敬具、嘯くことを必要とする世界へ