朝焼けがきれいな朝だった。
「今日は夏のお葬式ね。」 ゆっくりと頭を上げると、母の年中美波(ねんじゅうみなみ)がこちらを覗きこんでいた。 「春?大丈夫?顔色悪いよ」 妹の秋と冬が心配そうにこちらを見ている。 言えない。私がー 夏を殺してしまったなんて。 年中春(ねんじゅうはる)。季節のように、キョウダイは私合わせて4人いた。私と、夏と、秋と、冬だ。でも今年、夏は死んだ。彼女の名前の通り、夏に死んでしまった。彼女はまだ高校1年生だった。私は高3で、秋は夏と双子だったから夏と同じ高1。冬は中3だった。 私が夏を殺したというのは、本当だ。私は車に轢かれそうになった。怖くて、死にたくなかったから、後ろにいた夏を車に向かって押して、盾にした。夏は即死だった。 私のせいだ、私のせい。 誰にも打ち明けられずにいた。そのまま夏のお葬式が来てしまった。 線香の匂い。かぎたくなんかなかった。私は息を殺して泣いた。この年で泣くなんて嫌だったけど、泣かずにはいられなかった。 夏の遺体は、血が綺麗に拭われていて、寝ているだけみたいだった。可愛くて、無邪気だった夏。死んでほしくなんかなかったのに。どうして盾になんかしちゃったんだろう。 次の日、私はこっそり家を抜け出し、夏が死んでしまった大通りまで走った。夏が轢かれる前と、何も変わっていなかった。でも、少しコンクリートがえぐれていた。それが、「夏が死んでしまった」ということの証拠になっていた。 証拠を突きつけられた私は、今度は大声で泣いた。まだ朝の4時だったから、近所迷惑にもなることも知っていた。でも、こうしないとバチが当たるような気がした。そもそも、泣かないといけなかった。どうして泣かないといけなかったのか、という具体的な理由はなかったけれど。 冷たいコンクリートに膝を付き、ざめざめと泣いた。熱い涙がコンクリートに落ちた。ジュッという音がしたような気がした。 「春ねえ、春ねえ。」 夏の声が聞こえた。空を見ると、夏が浮かんでいた、ーように見えた。体は透けて、髪はうんと長くなっていた。 「私、春ねえに押されてなんかないよ。自分で轢かれちゃっただけだよ。」 そう言って、消えた。 私はぼうっとして、しばらくの間なにもない空を見つめていた。私は考えていた。 死んでしまった夏。私を死んだあとも気遣ってくれる夏。ごめんね。ごめんねー。 ごめんで済むことではない、ということはもちろん知っていた。だけど、喉から熱いものが込み上げてきて、泣きながら、ごめん、ごめん、と空に向かって叫んだ。ごめんね、ごめんね、ー!! 朝焼けがきれいな朝だった。
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カンドー
こんにちは!NASAです。 感動 スゴ……(泣) 夏ちゃん……