「優しい」世界の物語。
昔々。 そのころの世界はとても優しい世界でした。悪者とされる人は一人としていませんでした。 しかし、一人の少女が生まれたことによって、悪者とされる人が一人生まれてしまいました。 少女は、嘘をつくことができたのです。 今では、誰しもが嘘をつきますが、その頃にとって、嘘は重罪どころではありませんでした。 神に歯向かう者、生贄にしても良い者とされました。 その少女も大きな洞窟に住む龍の生贄にされることになりました。 めでたしめでたし。 ーーー 私は、必死に走った。 龍から逃げているのだ。 冬になったばかりの風が、ナイフのように冷たく突き刺すのを感じた。 寒かった。 生贄に差し出された服は、夏服より薄い服だった。 龍はどうなったかと後ろを振り返る。 龍は、遅い。 馬鹿だから。 飛べばいいのに、私に合わせて歩いてきている。 「…」 少し、考えてから私は近くにあった神殿に逃げ込んでみた。 龍からしっかり見えるように。 すると、龍は荒々しく吠えてから、自分の穴に帰っていった。 神に使えるものが、神殿に入ったら死んでしまうと思っているのだろう。 やっぱり馬鹿だ。 「はあああ…」 特大のため息をつく。 死ぬかと、思った。 初めて嘘をついた時、家の外に放り出された時も、1週間食事がなかった時も、生贄にされるために捕まった時も、龍が見つけやすいようにと流血するほど体罰を喰らった時も。 死ぬとは思わなかった。 死といえば、」おそらく私が死んだ後、「優しい」人のいいように捏造されて、御伽話になるんだろう。 私、逃げ切ったのに。 何が、「優しい」だ。 「残酷」の間違いだろう。 自分たちの上手いように捏造していって。 何が何が何が? 何が「優しい」の??? 「優しい」って何? 私の嘘は変わらない。 変わることができない。 初めて母にこのことを聞いて、嘘だと決めつけられ、龍の生贄になった今でも。 「さよなら。お母さん。いえ、残酷な世界。私、一人で生きてく。でも、もう一度聞きたい。答えは返ってこないだろうけど」 ーどうして、生贄にされる人が普通に生きれる人より多いのー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めまして! 夜桜です。 最初は、主人公を幼馴染が助けるとかいう恋愛モノを考えていたのですが、気がつけば意味怖っぽくなってました。なんででしょうね…??? ダーク系の小説は初めてです!(ダークになっているかどうかは別として) なんか、こう…不思議な感じのふわふわした世界線目指しましたが、途中で挫折しました。次頑張ります!!! では、また。