もう別れよう(ちょい怖)
「もう会わないで、別れてほしい。」 波の音が聞こえてくる、人気の海岸沿いにある公園。 そこに佇む男と女がいる。 女のほうが、そう言った。 「咲結…?急にどうしたんだよ」 咲結と呼ばれた女性が、唇を噛み締める。 「有希のこと、もうスキじゃなくなっちゃたの。」 「っ…そんなので…」 新しい好きな人ができたんだ、と。咲結はそう言った。 白いワンピースがなびく。波の音だけが聞こえてくる。 「分かってくれた?」 そう言う咲結は、どこか淋しくも嬉しいような表情をしていた。 「…わかったよ。もう会わない。」 じゃあ、と後ろに車を止めていた有希が車のキーを出す。 普段は有希の車に乗る咲結も、今日は自分の車を持ってきていた。 「ごめんね、有希」 その言葉は、もう有希のもとには届かなかった。 咲結と有希は、大学のサークルで知り合い、5年間の交際期間を経て別れた。 最初は大人っぽくて、正直で優しい咲結に有希が惹かれた。 何度も告白されて、有希の一途さに咲結は惚れた。恋なのだと、分かった。 紆余曲折ありながらも、咲結と有希は結婚の約束もした。 でも、咲結には好きな人ができてしまった。 職場で、友だちの紹介を受けた人だった。相手はハーフの男性だった。 かっこよくて、その姿すべてが好きになった。 もちろんモテるらしい。だけど、咲結はこの恋を諦めきれなかった。 その結果、有希と別れる決意をした。 後悔なんてしていない。 咲結は、告白をした。 「好きです。付き合ってください。」 告白は成功した。ずーっと彼への気持ちが冷めることはなかった。 そして、咲結は結婚した。 そして、次の日に、有希は結婚した。 お互い、幸せになれた。 咲結と有希は、結ばれなかった。 咲結はそう思っていた。 しかし、それは意外な結末を迎えることとなった。 有希は薬指に入った指輪を見て、その文字を見た。 『sayu&yuuki』 そして、咲結が結婚した日付が入っている。 「咲結…離さないからな…咲結…」 不敵な笑みを浮かべた有希は、咲結に笑いかけたのだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー なんと有希が結婚したのは咲結だったのです。 咲結を離したくなかった有希が、咲結の名前を使って婚姻届を書いたのです。 そしていずれ受理されて… ちょっと怖かったですね笑