わかってくれた先輩
はぁっ……。 もう嫌になっちゃう…。 あっ、みんなこんにちは。 私は中学2年テニス部の山口 花歩(やまぐち かほ)。 最近の悩みは、テニスが上手くいかないこと。 部の2年生で1番下手なの。 私は昔から運動が苦手。 だから、テニスもみんなに置いていかれないように、一生懸命頑張ってる。 なのに…どんどん差はひらいていくばかり。 それにね、上手い子たちはいっつもふざけてて、全然真面目にやってるようには見えない。 「努力は必ず報われる。」 なんて、誰が作った言葉なんだろう…… この言葉を昔は心から信じていた。 けれど、もう信じることはできない。 頑張っても、いいことなんかないじゃん…… そんなある日。 夏に引退した3年生の佐藤かえで先輩が、練習を見にきてくれた。 かえで先輩はすっごく上手くて、私なんか一生追いつけない… 明るくて優しくて勉強も運動もできる、そんな先輩が羨ましい… 練習が終わった後も、先輩はみんなに囲まれて笑顔でお話ししていた。 みんながやっと帰って、私も帰るか…と思っていたとき、かえで先輩がいきなり走ってきた。 「かほちゃん~!」 「ぁ先輩…今日はありがとうございました。」 「いえいえ~私も楽しかった!」 「走ってたけど、なにか急いでるんですか?」 「ううん、違うの、かほちゃんに伝えたいことがあって…」 「???」 「私ね、1年生のころ、もうほんっとに最悪なほどテニスが下手だったの。市の大会でももちろん1回戦負け。」 「え…うそ、」 「でね、そんな自分が悔しくて悔しくて、ちょうちょう頑張ったんだけど、なかなか上手くいかなかった。心が折れた時期もあった。努力なんて報われないじゃん、って。」 今の私と、同じだ… 「でもね、そんな時期も全部乗り越えて、苦しくても努力を続けたら、みんなもびっくりするくらいいきなり上手くなって、団体戦のメンバーに入ることができたの。」 「そうだったんだ…」 「かほちゃん見てたら、あの頃思い出しちゃって。頑張ってるのすっごく伝わってきたから、今は辛くても信じてずっと頑張れば絶対上手くなるから!頑張ってる自分に自信持ってね!」 「先輩…ありがとう、ございます…」 頑張ってることをわかってくれた人がいるということが嬉しくて嬉しくて。 「じゃあねっ!」 去っていった先輩の背中に、誓った。 絶対に、絶対に、最後の大会で優勝します、と。 __________________________________ 「かほちゃん~!!優勝おめでとう!」 「かえで先輩、ありがとうございます!先輩のおかげです!」 End.