花朽ちる
花は咲き、川は流れ、 鳥は歌う。 私が見ていたのは、 そんな世界だった。 あの日までは。 私は名門校の生徒会長を していた。 当然生徒からの信頼は 厚く、成績はいつでも トップ。 「生徒たちのことを一番に考える」 それが私のイメージだった。 それが、表の顔だった。 休み時間、 生徒会室の用具置き場に、 私は生徒を一人 監禁していた。 「ねえ、何その顔。 誰か助けに来ると思ってんの?」 私はそう言って 生徒に笑顔を向ける。 この生徒はいつも不登校、 ということになっている。 誰もこの生徒が授業を 受けなくても疑わないから、 私はこいつをおもちゃに、 日々のストレスを解消していた。 そんな毎日を送りながら、 私は次期生徒会長の 座を狙っていた。 まあ、生徒の間では次の 生徒会長も私だろうと 噂されるほど私は支持率が 高く、私にすればそんなことは 余裕であり、当然だった。 「次の生徒会長もよろしくお願いします!」 「応援してます。」 「あなたがいないと、僕たちはもうダメです!」 私は、そんな暖かな声援に浸っていた。 あの日から、私の 噂が流れ始めた。 噂の内容は、 「生徒会長が一人の生徒を監禁している」 という内容だった。 「……っ!!」 私はパニックになり、 生徒会室の用具置き場 へ向かった。 用具置き場にいたはずの生徒は、 どこにもいない。 もう、私は終わりなんだ。 「あははは…あははははは!!」 まるで今までの猿芝居が 馬鹿みたい。 何もかも、私の化けの皮が全て 溶けてゆくようだ。 花は咲き、川は流れる? そんなことはなかった。 私の世界では永遠に 花は朽ち、水の一滴も 落ちては来ないのだから。 そんな世界。 そんな世界だけど、それでいい。 私の本当はこれだから。 数時間後、 学校には警察がやってきた。 私は狂ったように、 笑い続ける。 もう、誰にも止められないのだから。