短編小説みんなの答え:3

1週間の偽りと未来に向かう真実

私の行っている高校は1学年8クラスある。 そんな中、ずっと同じクラスの杉浦 唯斗(すぎうら ゆいと)。腐れ縁ってやつなのかな。 私は神楽 美海(かぐら みう)。唯斗とは一年生の時に初めての席が隣だった。名簿順に座っていく。ちょうど隣になる位置にあった。 別にそこまで仲が言い訳でも悪いわけでもなく、普通に喋っているだけ。特に何もない。 そう思っていた。 「美雨、あのさちょっと話したいことがあるんだけど」 昼休み、お弁当を食べている私の机へ来て言った。 「うん、どしたの?」 「いいから」 そう言われるがままに私は周りに誰もいない花壇に連れて行かれた。 「美雨、あのさ言いたいことがあって」 「何?」 すると唯斗は大きく深呼吸をして言った。 「明後日だけでいいから俺と付き合ってくんね?」 「…。え?」 唯斗から予想外の言葉が出てきた、っていうか何この状況。 普段なら断っているはず。というか断るつもりだ。だけど目の前にいるのは「お願い!一生のお願い!」と必死に頼み込んでいる唯斗だった。 「はぁ。何がどうなってこうなったのかわからないけど、明後日だけだよね、うん、まあ、本気じゃないならいいよ」 え?ええええ。自分の口からこんな言葉が出てくるなんて、、、。 「よっしゃ!実はさ俺のおばあちゃんが末期のがんで、最後に俺の彼女をみせてほしいって言われてさ。明後日が過ぎたら別れたってことにしとくから。ごめんなありがとう」 「ふーん」 なんかもう別れるカップルの会話じゃない?って思ったのは内緒。 「明後日の土曜日、空けとけよ。俺のおばあちゃんに紹介するから」 「え、はい。わかった」 ほんとに急だなぁ。まあいっか。どうせ私は予定ない暇人なんだから。 「どこの病院なの?」 「えっと、、ここなんだけど、ん?どっちに進むんだこれ。こっち?」 勉強が苦手な唯斗は地図があまり読めないらしい。なんだか笑っちゃう。 「これ、こっちじゃない?で、あの青い屋根の家を左に曲がって進んで、そこの信号渡ってすぐ右にあるとこじゃないかな」 私はなぜか地図を読むのが得意なんだよねー。 「あー。天才じゃね美雨!さすが俺の彼女だな」 「え、、。もうやめてよ」 わずかに心臓が跳ねたのはきっと気のせい。 「おばあちゃん、俺、唯斗」 「あぁ。元気にしてたかい?」 「うん、元気だよ」 その唯斗の声は少し緊張気味だった。 「大丈夫。ちゃんとやるから、ね?」 私は笑顔を唯斗に向ける。 「そのー俺、彼女連れてきた。見たいって言ってただろ?」 「こ、こんにちは。ゆ、唯斗くんとお付き合いさせていただいています、神楽 美雨です」 「おばあちゃん、美雨はさ俺の最高の彼女なんだよな。めっちゃしっかりしてるし美雨がいたら勉強できない俺でも安心だよ。いつもおばあちゃんに心配ばっかりかけてたけど、もう大丈夫、心配いらないよ」 その時の唯斗はとても輝いて見えた。おばあちゃんも幸せそうだった。 「美雨ちゃん、ありがとうね」 「いえ、私はその、、、」 言葉に詰まっちゃう。だって本当に彼女じゃないから。第一、唯斗はモテる。こんな私とは釣り合うわけがない。 それでもいま、唯斗の彼女になれて嬉しい自分がいるのが事実。 「私は唯斗くんといれてとっても幸せです!本当にありがとうございます!」 変なことを言ってしまっているのがわかる。それでも本心だった。唯斗に伝えたかったことだった。 「今日はありがとーな。てか急な君付け違和感しかねーんだわ」 そう言ってケラケラ笑う唯斗。 「そっちだって私のこと、、、」 「あはは。お互い様っていうの?まあでもこれで終わりだしな。ありがとな」 ああ。終わりなんだ。 「唯斗、あのさ、私、変なこと言うけど、」 「ん?」 唯斗の眼差しはとても綺麗で私に私の気持ちを素直に聞かせた。 「このまま続けるっていうの、どう?」 唯斗が固まるのが見えた。あー失敗した。やってしまった。そう思った瞬間だった。右腕を誰かに引っ張られた。 「俺は美雨のこと、ずっと好きだったんだよ。てか好きなんだよ。本気で付き合いたいって思ってるし今日だけ付き合って欲しいとか嘘だし、本当はずっとだし」 唯斗だった。 「私も唯斗が好きだよ」 嘘から出た真。 こんなこと本当にあるんだ。 2人の影を月が照らす。

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