短編小説みんなの答え:2

ミステリー『桜の家』

学校で俺のスマホがなくなった。 放課後、帰宅部の裕太と七海と一緒に教室を出た。テストが迫ってきて教室で残って勉強する人がいる中、行きつけの『桜の家』というカフェで勉強しようと、いつもは四人組の俺らだが、今日は俺の彼女でもある咲良が早退したので三人で廊下を歩いていた。束縛が激しい彼女、悪いが早退して少しほっとする。 校舎を出た直後、リュックの横ポケットに朝入れたはずのスマホがないことに気づいた。学校出た瞬間スマホを確認したいなんて、それなりに依存してるんだな、と現代人を全うしてる自分に驚く。 「どうしたの?」 立ち止まった俺の後ろで七海が尋ねた。 「いや、スマホがないんだ」 勘違いかもしれないと、鞄の底も漁る。そしてもう一度、横ポケットを確認すると、紙切れが入っていた。 「どこかに置いてきた?それか家」 「いや違う」 裕太の声を遮り、その紙を二人に見せた。 『スマホさえ取ればこっちのもの』 「…え、どういうことだ?」 裕太が俺に聞く。知るか、俺が一番知りたい。 「誰かから盗られたってこと、だよね?」 七海が状況を理解し、俺から紙を抜きとる。全く関係ないけど、『紙』が『髪』に変わるだけで七海がヤバい奴になってしまうなんて日本語は怖い。 とにかく、理由は分からないが、誰かが俺のスマホを盗んだのは間違いない。しかも朝は持っていて、学校に入った時に電源を切って鞄にしまってそのままだったから学校内で、ということになる。今日学校に来ていた人が容疑者。 何のために? 「犯人は盗んだって事をお前に知って欲しくて紙入れたんだよな」 そういうことになる。普通、盗みはバレたくないものだから黙ってスマホを取ればいい。いやまず取るな人のスマホ。 俺らはひとまず桜の家に向かった。既に外は暗いが、ランプが灯る店の外の席に座る。灯台もと暗しを実写したような風景だ。 「位置情報で分かるんじゃね?」 しばらくして、裕太が思いついたように言った。なぜ気づかなかったのかと七海が俺のスマホの番号を入力してくれた。 するとその途端、七海の顔つきが変わった。 「さくらの家に、ある」 「え、ここ?」 とっさに聞き返えして、七海のイントネーションがおかしいと気づき、それと同時に七海は言った。まさに灯台もと暗しだ。 「咲良の家」

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