彼女との約束
「柚野、私の分までがんばって、ね…」 彼女はそう言葉を残して逝ってしまった。 「わああああああ」 「ねえ、美紅、美紅!美紅ったらああああ返事をしてよぉ」 私は泣き叫びながら彼女の冷たい手を握った。 なんで先に逝っちゃったの?約束を果たしてないのに。私はこれからどうすればいいの? そんな思いが頭を横切った。わかっていたけどやっぱり悲しい。 たった今逝ってしまった彼女は私の親友美紅。 美紅と私は幼稚園の頃からずっと友達だった。 二人にはあこがれているアイドルがいた。その人はとてもキラキラしていてこの世のものとは思えなかった。 そして、私と彼女は約束した。必ず二人であの夢見た舞台に立つ。ぜったいあのアイドルみたいになろうと。 私はずっと約束を果たすために努力し続けていたのに。 だが、ちょうど3年前、私はいつも遊んでいる公園に呼ばれた。 彼女のその顔は暗かった。でもその時の私は思ってもみなかったあんなことになるなんて。 彼女は目を伏せ言った。 「柚野に言っておかなきゃいけないことがあるの。私実は3年の命で・・・」 私は驚きすぎてそのあとの内容が頭に入ってこなかった。だが彼女が3年の命ということはわかった。 私はその場に立ち尽くすことしかできなかった。 気づいたら私の頬は濡れていた。 私はそのあとの記憶がない。気が付くと家にいた。 後日私は彼女と真剣に話をした。彼女は心臓病になってしまっていた。泣き叫びそうになった。でも、一番つらいのは美紅だ。泣いてなんかいられないと思い、残りの3年間で思い出を作ることになった。 この3年間はとても楽しかった。ずっとこんな日々でいられたらいいのに。でも、楽しいことはそんな長続きしない。 彼女は予定より早く眠りについた。私は泣いて、泣いて、泣きまくった。 でも、果たさないと。美紅との最後の約束を。 そして、数年後私は彼女との約束を果たしアイドルグループのセンターになることができた。すごくうれしかった。だって、やっと彼女との約束を果たせたんだよ?それから毎日忙しくなりあまり実家に帰らなくなった。 そこからまた数年後、久しぶりに実家へ帰った。 私は一目散にあの場所へ行った。 二人で毎日遊んだあの公園へ。 私はベンチに座り空を見上げてこういった。 「私、美紅との約束やっと果たせたよ。美紅の分もがんばったよ。いつになるかわからないけど必ずまたここで遊ぼうね!」 その時空の上で美紅が微笑んでいるように見えた。