桜の木。
「ずっと前から知っていた。」 私が君を好きだってこと。 さわやかにサッカーをこなして見せるその姿に、気づけば胸がときめいていた。 君に笑いかけられる度跳ねる心臓。呼吸と同じリズムで好きが溢れていく。 君のやわらかな頬に手を添えて、キスを落としてしまいたくなるのを必死に我慢する。撫でてやればくすぐったそうに笑うその顔も、私をときめかせる材料のひとつで。そんな顔で笑われる度に小さく期待が積もっていく。「私のこと好きなの?」と、口の中で小さく呟いた言葉は、誰にも拾われることなく消えた … はずが、私の頭に暖かい手がぽんと置かれた。「好きだよ。俺は。お前のこと」 耳元で囁かれたその声が妙にくすぐったい。自分の顔が真っ赤に染まっていくのを自分でも感じた。 お前が俺を好きだってこと、俺は― 「ずっと前から知っていた。」