狼の奇跡
ここは、令和時代の田舎。和華というものがおった。和華は、学校でいじめられていた。「噓つき。頭おかしいんじゃない?」と殴られ、蹴られ。「あんたなんかいなくなればいいのよ。」と言葉を吐かれ。今日もつらい学校が終わり、トボトボと山道を歩いていた。すると、目の前に銀色の美しい毛並みをなびかせ、佇む狼の姿があった。 「おかしい。なぜ狼がおる?」 和華は、そうつぶやいた。だが、この美しい琥珀色の目に吸い込まれそうになる。ドキドキと鼓動のスピードが速くなる。美しいが恐ろしい。獣独特の雰囲気に和華がひかれる。そのとき狼が口をひらいた。 「そなたは、和華だろう。我についてこい。」 「狼様が口をきいた!」 驚き、2度もない幸運に目をそむこうとしている。狼が歩きだした。和華も糸に引かれるように狼の後を追う。 突然、あたりが暗くなり、騒がしい声が聞こえた。狼が話した。 「ここは、精霊の世界。今、我は目隠しをした。絶対に目を開いては、ダメだよ、和華。魂がとられてしまうからね。」 あの美しい狼の匂いがする。 「分かった。狼様。」 しばらくたつと狼が目を開けていいと許可を取った。目の前には、狼様に似た狼たち。マナティーに似た生き物。恐竜までもいた。そこは、絶滅した動物たちの世界だった。狼が言った。 「和華、そなたは、この者たちを救うために来たのだよ。あの愚かな人間たちに教えるために。」 と狼の歯を嚙み合わせる音が聞こえた。 「あっそなたに話すのを忘れていた。我の名は、月江詞(げっこうし)。月の神の使いと言われている。絶滅した動物たちの代表だ。」 と今更ながら、自己紹介をした。 「和華。和華にこれを渡す。」 手を見るとそこには、犬笛が置かれていた。 「会いたくなった時にこれを吹け。我は、いつでも駆けつけるぞ。」 うっすら笑った顔でこちらを見ていた。すると、狼が、いや月江詞がすうっと消えた。周りを見渡すと下校の途中の山道で立ち止まっていた。 (よし!これでいじめっ子に仕返しができる。先生に言う勇気がついた。だって月江詞様がついているもの。) と微笑んだ。 学校で将来の夢を作文に書いた。そこには、 「私の将来の夢は、絶滅する動物のことを教えるセンターをひらいて、いろいろな人に動物について知ってもらうことです。だから私は、…」 (私は、絶対になるんだ。絶対に伝えるんだ。動物のことを!) おしまい 私は、いじめがなくなるように絶滅する動物がいなくなるように。この物語を書きました。